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コンプライアンス研修を「自分ごと」に!記憶に残る面白い事例の探し方とポイント

研修担当者やセキュリティ推進担当者のみなさん、社内のコンプライアンス研修を任されるたびに、頭を抱えていませんか? 堅苦しい話は敬遠されがち、それでも“やらないわけにはいかない”のがこの研修の難しさだと思います。

コンプライアンス研修は「堅苦しい」と受け取られがちですが、「なるほど!」と思わせる興味深い事例で、参加者の関心を引き、「自分ごと」として法令遵守の精神を根付かせることができます。

この記事では、コンプライアンス研修の企画に役立つ情報をお届けします。

なぜ「面白い事例」が効くのか?関心→記憶→自分ごと化

なぜコンプライアンス研修では面白い事例が効くのでしょうか?

思わず聞きたくなるから、自然と耳を傾ける

例えば「SNSにアップしたランチの写真で機密情報がバレた話」と聞いたら、思わず「なにそれ?」と身を乗り出したくなりませんか?

法律の条文を淡々と説明されるより、「自分もやりかねない」と思えるリアルな失敗談のほうが、よほど心に残ります。

記憶に残るから、実行につながる

「人は忘れる生き物」。だからこそ、記憶に残す工夫が必要です。
笑える話や「なんでそんなことに…?」と思うような事例は、脳に強い印象を残し、学びの定着につながります。

たとえば、ある研修では「おじさん部長の善意が引き起こしたハラスメント事例」を寸劇風に紹介。笑いながらも「他人事じゃない」と参加者がざわついたそうです。

笑ったあとに、背筋が伸びる

面白い話の裏には、企業の信用や社員の人生に関わる深刻な事態が潜んでいます。
だからこそ、「軽く見せて、深く考えさせる」。このバランスが、効果的なコンプライアンス教育の鍵です。

【テーマ別】コンプライアンス違反から学ぶ!研修で活用したい重要事例

コンプライアンスは情報漏洩、ハラスメント、著作権侵害など多岐に渡ります。

ここでは研修で取り上げやすく関心を引く「興味深い」かつ重要な事例をテーマ別に紹介します。問題を身近に感じ対策を考えるきっかけにしてください。

SNS・情報管理:「なんとなく投稿」で会社が損害を被る

事例:社員が勤務中のデスク上のお菓子の写真をSNSに投稿したところ、企業名やメールアドレスなどが記載された書類が写り込んでおり、個人情報が流出した。

  • ポイント
    • 本人に悪意がなくても、「知らなかった」では済まないのが情報管理。「つい」「なんとなく」が、企業のリスクを生むのだと伝えましょう。

参考:Sky株式会社 SNSによる企業の情報漏洩を防ぐには? 具体的な事例や対策方法を解説
https://www.skyseaclientview.net/media/article/3162/

ハラスメント:「きつい指導」が組織を疲弊させる

事例:上司Aが部下Bに対し、日常的に足蹴りや「使えない」などの罵声を浴びせ、職場の雰囲気は悪化。部下Bは自身を責め、相談できずにいる。

  • ポイント
    • 上司の行為は「身体的・精神的攻撃」にあたるパワハラです。被害者の認識や加害者の意図に関わらず、客観的に業務の適正範囲を超え、周囲の就業環境も害している点が重要です。

参考:パワハラ事例集
https://www.jinken-net.com/pdf/teaching/20210506_teaching.pdf

著作権・知的財産:「大丈夫だと思った」が無許可利用で賠償責任に

事例:あるアパレルECサイト運営会社が、海外のモデル兼経営者が著作権を持つ商品写真を、無断で自社サイトやSNSに多数掲載。一部写真はトリミングなどの改変も行われていた。

  • ポイント
    • 他者の著作物である写真を無断で使用・改変し公開する行為は、著作権や著作者人格権の侵害にあたります。海外サイトからの写真利用でも権利確認は必須であり、怠れば損害賠償責任を問われる可能性があります。

参考:知的財産裁判例集
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/search7

景品表示法:「飲むだけで痩せる」で大炎上

事例:健康食品のLPに「驚くほど痩せた!」と書いたところ、消費者庁から優良誤認で措置命令。実は社内モニターの一例で根拠がなかったことが発覚。

  • ポイント
    • 「ちょっと盛る」は命取りです。広告制作に携わる社員には、景品表示法の基礎知識を持たせましょう。

参考:消費者庁 景品表示法の主な違反事例及び運用に係る主なガイドラインなどについて https://www.cao.go.jp/consumer/history/03/kabusoshiki/kachoukin/doc/140318_shiryou3.pdf

【2025年最新動向】見逃せないコンプライアンスリスクと事例

コンプライアンス環境は社会変化や技術進展で絶えず変化します。

過去の事例に学ぶだけでなく、働き方の多様化やAI技術の発展といった新たなリスクへの備えも不可欠です。

新しい働き方とコンプライアンス:リモートワーク環境下の違反事例

リモートワークは柔軟な働き方を提供する一方で、新たなリスクも顕在化させています。

情報管理の甘さ、労務管理課題、コミュニケーション不足によるハラスメントなどを引き起こします。

  • 注目事例
    • 自宅での機密情報漏洩、公共Wi-Fiでの情報傍受
    • カフェでの覗き見
    • 私物USB利用によるウイルス感染・紛失
    • 隠れ長時間労働、過度な監視
    • オンラインハラスメント
  • 研修着眼点
    • リモートワーク特有のリスクを示し、セキュリティ対策(VPNの利用、クリアデスクの徹底など)を指導
    • 勤怠管理、オンラインコミュニケーション術(配慮、テキスト注意点)を指導

参考:総務省 テレワークセキュリティガイドライン
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/telework/

技術革新と法的課題:AIが生み出すコンプライアンス問題

AI技術、特に生成AIの進化は著しいものの、著作権侵害、個人情報保護、差別助長といった新たな問題も指摘されています。

  • 注目事例
    • AI生成物が既存著作物を無断学習・利用し著作権侵害の疑い
    • AI学習データ偏りによる「AIバイアス」
    • AI生成の誤情報・フェイクニュース
    • AI判断による問題発生時の責任所在の不明確さ
  • 研修着眼点
    • AI利用ガイドライン策定の重要性
    • AI倫理の基本
    • 生成AIコンテンツ利用時の注意点(ファクトチェック、著作権確認)
    • AIツール利用ルール作り

参考1:内閣府 AI戦略
https://www8.cao.go.jp/cstp/ai/index.html

参考2:経済産業省 AI原則実践のためのガバナンス・ガイドライン
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/ai_shakai_jisso/20220128_report.html

最新事例を探す方法:どこからネタを仕入れる?

ここでは最新の情報を探す方法を解説します。

省庁・業界団体の資料を活用する

消費者庁や厚生労働省などの省庁、業界団体、NPO法人は、Webサイトで信頼性の高い違反情報や啓発資料を公開しています。

公式情報は事実に基づいており信頼性が高いため、研修素材としても最適です。

日経新聞・業界誌・ネットニュースから事例をピックアップ

新聞、経済誌、Webニュースで報道される企業違反事例、特に有名企業や同業他社の不祥事は関心が高く「自分ごと化」しやすい研修素材です。

たとえば「AI生成コンテンツの著作権問題」「リモートワーク中の情報漏洩」など、時代の変化を映す事例はニュースに詰まっています。

大手新聞社経済ニュースサイト、ビジネス系ニュースサイトをチェック。「企業名 不祥事」「〇〇業界 違反事例」で検索します。

掲載元が明確な記事を選び、企業名や具体的な背景を伏せた上で事例化するのが望ましいでしょう。

SNSやX(旧Twitter)で“今”の空気を探る

日々変化するトレンドや新たなリスクを捉えるには、最新ニュースやSNSの関連トピックに注目することが有効です。

SNSでは炎上事例や専門家の意見がリアルタイムで共有されるため、社会の関心の変化を察知するのに役立ちます。

「#コンプライアンス」「#社内不祥事」などのタグ検索で、炎上やリスクの予兆をキャッチできます。

ただし、SNSの情報は真偽を慎重に見極め、裏付けを取ったり複数の情報源で比較検討したりすることが不可欠です。また、引用する際は著作権やプライバシーへの配慮も必要となります。

違反を未然に防ぐ!コンプライアンス研修の設計ポイント

効果的な研修は知識だけでなく意識と行動変容を促すもの。内容・設計に工夫が求められます。

なぜ、研修をしてもコンプライアンス違反が後を絶たないのか?

多くの企業で研修が実施されても違反が後を絶たない主な原因は、研修の形骸化や、参加者にとって「他人事」「やらされ仕事」と化している点にあります。

「退屈」「自分に関係ない」「知っているが実践しない」などの意識が効果を低下させます。

組織全体のコンプライアンス意識が低く、違反を容認するような風土があれば、研修の効果は限定的になってしまいます。

参加者の「当事者意識」を育む!事例共有やワークショップのすすめ

違反防止には従業員一人ひとりの当事者意識が不可欠。これを育むには事例共有や参加型ワークショップが効果的です。

「このケース、あなたならどう判断する?」と投げかける

事例をただ紹介するだけでは、聞き手はどこか他人事のまま終わってしまいます。

そこで効果的なのが、「あなたならどうしますか?」という問いかけ。たとえば以下のように応用できます。

例:「社内SNSで部下の誕生日写真を上司が勝手に投稿した結果、部下が不快感を表明。さて、あなたがこの場にいたら、どう声をかけますか?」

このように問いを投げることで、受講者は「当事者」の目線に立って考えざるを得なくなります。意見交換のきっかけにもなり、ただの情報提供から「対話のある学び」へと変化します。

ワークショップ形式で議論させる

コンプライアンスは「知識」より「判断」が重要。だからこそ、他者との意見の違いに触れ、自分の思考のクセや盲点に気づく場づくりが効果的です。

  • グループごとに事例を配布し、「問題点の洗い出し」「誰がどのタイミングで止められたか」などを話し合う
  • 異なる部署・年代の混合チームにすることで、「価値観のギャップ」に気づかせる
  • 発表の際に、ファシリテーターが「なぜその判断をしたのか」と掘り下げる

このような構成にすることで、参加者は「正解」ではなく「なぜそれが問題になるのか」という“思考のプロセス”を学び、実務に活かせる力が育ちます。

eラーニングや動画教材を効果的に組み合わせ、学びを継続させる

集合研修に加えeラーニングや動画教材の組み合わせで研修効果を高められます。

  • eラーニング
    • 個別ペース学習と理解度確認に優れ、基本法令・規程周知に有効
  • 動画教材
    • ドラマ仕立てや専門家解説で視覚・聴覚に訴え、興味と記憶に残りやすい
    • 「興味深い事例」の再現ドラマ風動画は特に効果的
  • 活用
    • 集合研修前後やリマインドに活用し継続的意識向上へ
    • 各ツールの特性理解と目的に応じた組み合わせが重要

コンプライアンス研修を効率よく実施するなら「WisdomBase」

wisdombase https://wisdombase.share-wis.com/

コンプライアンス研修を効率よく実施したいなら、法人向けLMS(学習管理システム)「WisdomBase(ウィズダムベース)」の活用がおすすめです。

WisdomBaseは、動画・テキスト・クイズ・アンケートなど多様な形式の教材を一元管理し、受講者ごとの進捗や理解度を可視化できるクラウド型の学習プラットフォームです。

特にコンプライアンス研修においては、以下のような課題解決に貢献します。

  • 受講状況のリアルタイム管理と未受講者への自動リマインド
  • ハラスメント研修や情報セキュリティ教育などの動画教材を繰り返し視聴可能
  • クイズやテストによる理解度チェックで「やっただけ研修」からの脱却
  • 法改正や不祥事を受けたタイムリーな教材配信・差し替えも即時対応可能

また、動画のスキップ防止機能や受講履歴のエビデンス保存にも対応しており、安心して導入いただけます。

社内のコンプライアンス意識を定着させたいご担当者様は、ぜひWisdomBaseでの研修運用をご検討ください。

まとめ

コンプライアンス研修のマンネリ化を防ぎ、参加者の意欲を高める鍵は「興味深い事例」の活用と「自分ごと化」させる工夫です。

本記事ではその効果、テーマ別事例、最新トレンド、事例の探し方、研修設計ポイントを解説しました。

ぜひ今回の事例や探し方を参考に、自社らしい、伝わる研修づくりにチャレンジしてみてください。