
はじめに
「ラテラルシンキングの例題ってどんなものがあるの?」 「研修や会議で使える実践的なワークを知りたい」 「ラテラルシンキングを社員教育に取り入れる方法を知りたい」
といった方のために、今回は研修担当者や管理職の方がすぐに活用できる「ラテラルシンキング 例題」と、その使い方・進め方をわかりやすくまとめました。 発想力を高めたい方や、チームの課題解決力を強化したい方は、ぜひ参考にして自社研修に取り入れてみてください。
- はじめに
- ラテラルシンキングとは
- ラテラルシンキングのメリット・特徴
- ラテラルシンキングの使い方
- ラテラルシンキングを鍛えるコツ
- ラテラルシンキングの例題・演習問題
- ラテラルシンキングを研修する際のポイント
- ラテラルシンキングのビジネス活用
- ラテラルシンキングを育成をするには
- ラテラルシンキングの研修をするならWisdomBase
- まとめ
ラテラルシンキングとは
ラテラルシンキングとは、常識や過去の成功体験にとらわれず、物事を多角的に捉えて新しい発想を生み出す思考法です。
論理的な手順よりも「発想の転換」を重視し、問題を別の角度から見ることで、これまで見えなかった解決策を導き出します。
ロジカルシンキング・クリティカルシンキングとの違い
ロジカルシンキングが「筋道を立てて考える力」、クリティカルシンキングが「前提を疑い正確さを見極める力」であるのに対し、ラテラルシンキングは「発想を広げる力」です。つまり、正解を見つけるための思考ではなく、新しい可能性を創り出すための思考です。
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ラテラルシンキングの手法・フレームワーク
主な手法には、前提を疑う「仮定の反転」、他分野の発想を応用する「アナロジー思考」、既存の要ポイントを組み替える「リミックス発想」などがあります。
これらを研修や会議で活用することで、チームの創造性を高め、革新的なアイデアを生み出す基礎を育てることができます。
ラテラルシンキングのメリット・特徴
ラテラルシンキングは、論理的な正解を導くための思考ではなく、既存の枠を超えて新しい発想を生み出すための思考法です。
組織やチームで導入することで、課題解決のスピードだけでなく、社員一人ひとりの「柔軟な思考力」や「創造的な問題解決力」を育てることができます。
ここでは、研修担当者や管理職が理解しておきたい3つの大きなメリットを紹介します。
失敗を学びに変えられる
ラテラルシンキングでは、失敗を「誤り」としてではなく、「新しい視点を見つけるチャンス」として捉えます。
失敗を恐れずに多様な発想を試すことで、偶然の発見(セレンディピティ)が生まれ、組織に挑戦的な文化が育ちます。
これにより、メンバーは否定される不安から解放され、主体的に意見を出し合うようになります。
固定概念や前提を打ち破れる
日々の業務では、「この方法が当たり前」「前回もうまくいったから今回も同じでいい」といった思考の固定化が起こりがちです。
ラテラルシンキングは、その前提をあえて疑うことで、問題の本質を再発見し、新たなアプローチを導きます。
前提を壊すことで、従来の延長線上にはないアイデアや改善策が生まれ、業務効率や顧客満足度の向上にもつながります。
最短ルートの解決策を発見できる
一見遠回りに思える発想の転換が、実は最も効率的な道を導くことがあります。ロジカルシンキングが順序立てた分析を重視するのに対し、ラテラルシンキングは「思考の飛躍」を許すことで、思わぬ角度から最短ルートの解決策を見出します。
複雑な課題や新規事業の立ち上げなどにおいても、制約を超えた発想がブレークスルーを生む原動力となります。 ラテラルシンキングをチームに取り入れることで、単なる発想法にとどまらず、「失敗を恐れず挑戦できる風土」と「変化に強い組織力」を同時に育てることができるのです。
ラテラルシンキングの使い方
ラテラルシンキングを実践するうえで重要なのは、「答えを出す」ことではなく、「新しい視点を発見する」ことです。
論理的な順序で考えるロジカルシンキングと違い、ラテラルシンキングは既存の枠組みを意識的に外し、問題の見方そのものを変えることで発想の転換を促します。
特に研修や会議の場で活用する場合は、以下の5つのステップを意識することで、チーム全体の思考の幅を大きく広げることができます。
不満・違和感に気づく
最初のステップは、「なぜこうなっているのだろう?」という小さな違和感に気づくことです。現場の不満や非効率、当たり前のように行われている手順の中に、改善のヒントが隠れています。
ラテラルシンキングでは、この「違和感」を発想の起点とします。たとえば、「会議がいつも長い」「なぜ承認までに時間がかかるのか」といった不満を掘り下げることで、課題の核心に迫ることができます。
「なぜ?」を繰り返す
次に、「なぜ?」を何度も繰り返して根本原因を探ります。これはロジカルシンキングの分析手法にも似ていますが、ラテラルシンキングでは“答えを出すため”ではなく、前提を揺さぶるために行います。
たとえば、「なぜこのルールが存在するのか?」「そもそもこの仕組みは必要なのか?」と問い直すことで、無意識の思い込みや慣習を明らかにします。
ここで重要なのは、正しさを求めるのではなく、「他の見方ができないか」を考えることです。
「ならばどうなる?」と仮定を立てる
原因を探る中で、「もしこの前提がなかったら?」「逆にしてみたらどうなる?」と仮定を立ててみましょう。
これがラテラルシンキングの核心です。たとえば、「承認フローをなくしたらどうなる?」「お客様ではなく社員が選ぶ商品企画をしたらどうなる?」など、常識とは異なる仮定を設定することで、新しい発想が生まれます。
重要なのは、現実的かどうかを最初に判断しないこと。自由な仮定こそが、創造的なアイデアを生む土台になります。
「どうやって実現できるか?」を考える
仮定したアイデアを、次は実現可能な形に落とし込みます。この段階では、ブレーンストーミングやディスカッションが効果的です。
チームで意見を出し合い、実際の業務にどう活かせるかを検討します。ここで「無理だ」と切り捨てるのではなく、「どうすればできるか?」という前向きな姿勢を維持することが重要です。
研修担当者は、参加者が安心して意見を出せる環境づくりを意識することで、より豊かなアイデアが生まれます。
前提を疑う
最後のステップは、あらためて「そもそもこの前提は正しいのか?」と自問することです。
業務プロセス、商品設計、会議運営、顧客対応など、あらゆる場面で前提を疑うことは、思考の硬直を防ぎ、発想の自由度を高めます。
たとえば、「顧客満足は最優先である」という一見正しい前提も、時に「社員の働きやすさ」を犠牲にしているかもしれません。
前提を疑うことは、否定ではなく、より良いバランスを探すための行動です。
ラテラルシンキングを鍛えるコツ
ラテラルシンキングは、一度学んだだけで身につくものではなく、日常的に意識して鍛えることが重要です。
特にビジネスの現場では、従来のルールや常識に縛られたままでは、新しい発想や価値を生み出すことができません。 ここでは、日常業務やチームマネジメントの中で実践できる3つのトレーニング方法を紹介します。
前提を疑う習慣をつける
最も基本的で効果的なトレーニングは、「なぜそうなっているのか?」を日常的に問い直すことです。
たとえば、「この手順は本当に必要?」「なぜこの報告書は毎週出しているのか?」といった小さな疑問を意識するだけでも、思考の幅が広がります。
管理職や研修担当者は、チーム内で「前提を疑う発言を歓迎する文化」をつくることが大切です。
上司や同僚に対しても「それは本当に最適な方法ですか?」と対話できる環境を整えることで、組織全体の創造性が向上します。
抽象化を意識する
次に重要なのが「抽象化」です。具体的な出来事や課題から共通の本質を見出し、他の領域に応用する力を養います。
たとえば、顧客対応の問題を「人間関係の信頼構築」という抽象レベルで捉えれば、社内コミュニケーションの改善にも活かせます。
抽象化は「別の視点を持つ」ための基礎トレーニングです。日々の業務で起きた事象を、単なる事例として終わらせず、「この経験から他に何を学べるか?」と考える習慣をつけましょう。
偶然の発見を活かす
ラテラルシンキングでは、偶然の出会いや思わぬ出来事から新しいアイデアが生まれることがあります。これを「セレンディピティ(偶然の発見)」と呼びます。
日常の中で「たまたま見た広告」「他部署の会話」「異業種のニュース」などに着目し、ヒントを得る意識を持ちましょう。
意図していない情報を受け入れる柔軟性が、新しい発想を導きます。
ラテラルシンキングの例題・演習問題
ラテラルシンキングは、知識を詰め込むよりも「体験を通じて考える」ことで身につく思考法です。そのため、研修やチーム教育に導入する際は、理論よりも実践を重視した構成にすることが効果的です。
ここでは、実際に使える典型的な例題から、業務シーン別の応用題材、そして研修設計のポイントまでを解説します。
典型的なラテラルシンキングの問題
ラテラルシンキングの代表的な例題としてよく使われるのが、「常識を疑う」「状況を多角的に解釈する」タイプの問題です。たとえば、次のような問いが挙げられます。
例題1:ある男性がバーに入って水を注文した。すると店員は銃を取り出して男に向けた。男はありがとうと言って帰った。なぜ?
この問題の答えは、「男性がしゃっくりをしていたから」。銃で脅かされたことでしゃっくりが止まり、男は感謝して帰ったという内容です。ここでは「脅された=危険」という固定観念を外し、行動の背景を別の角度から捉える柔軟さが求められます。
例題2:橋の上に靴だけが揃えて置かれている。これはどういう状況?
多くの人は「自殺」と結びつけますが、実際には「川で洗うために靴を脱いだだけ」という可能性もあります。このように、思い込みを一度リセットし、事実を多面的に捉える訓練こそが、ラテラルシンキングの基本です。
こうした問題を研修で扱う際は、あえて答えをすぐに出さず、参加者同士で意見を出し合うことが重要です。 「他の可能性は?」「その理由を裏づける根拠は?」などの質問を通じて、思考の幅を自然に広げることができます。
業務領域別に使えるラテラルシンキングの題材
ビジネスの現場でラテラルシンキングを鍛えるには、業務に即した題材を用いるのが効果的です。たとえば以下のようなシーンが挙げられます。
営業・マーケティング部門:
「競合が値下げしたとき、価格以外で勝つ方法は?」
→ 値段を下げるという常識を疑い、体験価値や付加サービスで差別化を考える。人事・教育部門:
「社員が研修に参加したが、定着率が上がらない。何が原因?」
→ 内容が悪いのではなく、受け手の学び方”や“職場の文化に問題がないかを検討する。製造・開発部門:
「製品不良が減らない。作業手順を見直しても効果がない。」
→ 作業者のスキル不足ではなく、設計段階の想定ミスや“情報共有の構造”を疑う。
このように、各部門が抱える課題を題材に変えることで、ラテラルシンキングは単なる発想トレーニングではなく、実務改善の武器になります。研修担当者は、自社の課題をケース化して提示することで、参加者が自分ごととして考えやすくなります。
グループワーク形式演習の設計ポイント
テラルシンキングの研修では、講義よりも「グループワーク形式」で行う方が効果的です。
参加者同士が異なる視点を出し合うことで、個人では気づけない発想に触れられるからです。 設計の際は、次の3つのポイントを意識しましょう。
正解を示さない問いを用意する
答えが一つに絞られない問題を出題し、「どんな視点があるか」を重視します。正解よりも、思考の過程を評価することが大切です。多様な立場の参加者を混ぜる
異なる部署・職位・年齢のメンバーを組み合わせることで、意見の多様性が生まれます。これにより「他人の見方を受け入れる柔軟性」が育まれます。ファシリテーターが問い返す立場に徹する
研修担当者は答えを導くのではなく、参加者に「なぜそう思ったのか?」「他の見方は?」と問いを投げかける役割に徹します。この“対話型進行”が、思考を深める鍵となります。
また、最後にチームごとに「どのように考えたか」「視点がどのように変化したか」を共有することで、学びの定着度が高まります。 ラテラルシンキングは一度の演習で終わるものではなく、繰り返しの対話と振り返りによって磨かれていきます。
ラテラルシンキングを研修する際のポイント
ラテラルシンキングの研修では、知識を教えるよりも「考える体験」を重視することが重要です。
発想法を頭で理解するだけではなく、実際に手を動かして試行錯誤することで、初めて柔軟な思考力が身につきます。
ここでは、研修を設計・実施・定着させるための3つのポイントを解説します。
研修カリキュラムに組み込む際のポイント
まず、座学中心ではなく「実践ワーク」を主軸に組み込みましょう。「理論説明→例題演習→グループディスカッション→振り返り」という流れが効果的です。
時間配分としては、講義2割・演習6割・共有2割を目安に設計すると参加者が主体的に考える構成になります。
指導する際の注意点・効果を引き出す進め方
講師やファシリテーターは、答えを教えるのではなく、問いを投げかける立場に徹しましょう。たとえば、「他に考えられる可能性は?」「逆の立場ならどう見る?」といった質問が効果的です。
また、発言を否定せず、自由な意見を歓迎する雰囲気をつくることで、参加者の創造性を最大限に引き出せます。
研修後に定着させるためのフォローアップ施策
研修後は、学びを日常業務で活かすための仕組みづくりが欠かせません。定期的なアイデア共有会や、会議での「前提を疑う時間」の設定など、継続的な実践の場を設けましょう。 上司がラテラルシンキングを率先して使うことで、組織全体に発想を楽しむ文化が定着していきます。
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ラテラルシンキングのビジネス活用

ラテラルシンキングは、ビジネスのあらゆる場面で革新を生み出す強力な手法です。論理的に筋道を立てるロジカルシンキングが「課題を整理する力」だとすれば、ラテラルシンキングは「課題を新しい角度から再定義する力」といえます。
たとえば、マーケティングでは「ターゲットを変える」「提供価値を逆転させる」ことで新市場を創出できます。
人事では、評価制度や研修設計に「常識を疑う」視点を取り入れることで、より柔軟で公平な制度が構築できます。また、開発・企画分野では、既存の技術やアイデアを組み合わせることで独自の製品を生み出すことが可能です。
つまり、ラテラルシンキングは「前提を疑う力」と「発想を転換する力」であり、企業が変化に強い組織文化を育てるための土台となる思考法なのです。
ラテラルシンキングを育成をするには

ラテラルシンキングを組織に定着させるには、一度の研修で終わらせず、日常業務の中で継続的に鍛える仕組みが必要です。
部下の発想力を引き出し、柔軟な思考を習慣化させるためには、上司やリーダーの関わり方が重要な鍵を握ります。
部下育成におけるラテラル思考トレーニング習慣化のコツ
日常の業務会話の中で「それ以外の方法はある?」「逆の立場ならどう思う?」と問いかける習慣を持ちましょう。答えを教えるよりも、考えさせる時間をつくることが育成のポイントです。
1on1・朝会・ブレストへの取り入れ方
1on1では「最近気になった違和感」をテーマに話すことで、日常の中の課題発見力を養えます。朝会やブレストでは、結論よりも多様な視点を歓迎する姿勢を示すと、メンバーの発想が広がります。
評価や指標で見る研修成果
発想力は数値化しにくいですが、「提案件数」「改善提案の採用率」「ディスカッション参加率」などを評価指標に設定すると、定量的な育成効果を確認できます。 ラテラルシンキングの育成は、創造的な組織文化を根づかせる長期的な投資です。
ラテラルシンキングの研修をするならWisdomBase
https://wisdombase.share-wis.com/
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動画教材や確認テストなどを組み合わせて、受講者の理解度を可視化しながら効果的な学習運営を行えます。 ラテラルシンキングをテーマとした教材をWisdomBase上で配信すれば、実際のビジネス課題を再現した事例学習なども容易に実施できます。
これにより、単なる知識の習得にとどまらず、現場で活かせる実践的な思考力を身につける仕組みを構築できます。
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まとめ
ラテラルシンキングは、単なる発想法ではなく、「組織文化を変える力」を持つ思考法です。
失敗を恐れず挑戦できる風土を育て、社員一人ひとりが柔軟に考えられるようになることで、企業全体の創造性と競争力が飛躍的に向上します。
研修の場で学び、実践を通して習慣化することが重要です。そのためには、知識を教えるよりも体験を通じて考えさせる研修設計が効果的です。
もし、自社で効果的な思考力研修を導入したいとお考えなら、オンラインで実施できるクラウド型研修プラットフォーム「WisdomBase」がおすすめです。課題配信・成果管理・フィードバックを一元化し、組織の「創造的思考」を持続的に育てる仕組みを実現できます。
今こそ、発想の転換を組織の力に変える第一歩を踏み出しましょう。
