eラーニングの受講率を上げる方法|受講されない原因と改善策を解説

eラーニングでは、受講者が期限内に学習を終え、必要な知識やスキルを身につけられる環境を整えることが求められます。
しかし、教材の量や学習時間の確保、受講案内の方法、端末環境などの問題により、受講率が伸び悩んだり、途中で学習を中断する人が増えたりするケースも少なくありません。
この記事では、eラーニングの受講率が低下する原因や改善策、修了率・理解度を高めるポイント、LMS(学習管理システム)を活用した受講管理や効果測定の方法まで分かりやすく紹介します。
【この記事の概要】
- eラーニングの受講率が低下する原因や課題が分かる
- 受講率・修了率・理解度を高める具体的な改善策を理解できる
- LMSを活用した受講状況の管理や効果測定、継続的な改善方法が分かる
目次
eラーニングの受講率とは?計算方法と見るべき指標

受講率は、研修対象者のうち、どれだけの人が学習を始めたかを示す指標です。ただし、受講率が高くても最後まで修了していなかったり、理解できていなかったりする場合があります。目的に合った指標を組み合わせて見ることが大切です。
受講率の基本的な計算方法
受講率は、一般に次の式で算出します。
受講率(%)=受講を開始した人数 ÷ 受講対象者数 × 100
例えば対象者100人のうち80人がコースを開始した場合、受講率は80%です。LMSの「開始」の定義が、ログインなのか、動画・資料の閲覧なのか、最初の単元の完了なのかを統一しておきましょう。
また、対象者には休職者・退職予定者・対象外の異動者を含めるのか、いつの時点で集計するのかも、毎回同じ基準にします。
受講率・修了率・理解度の違い
受講率は学習を始めた割合、修了率は所定の視聴・テスト・アンケートなどの条件を満たして研修を終えた割合です。テストの得点や正答率は、内容を理解できたかを確かめる指標になります。
未受講者が多ければ案内や時間確保に問題があるかもしれません。開始者は多いのに修了者が少なければ、教材が長い、操作が分かりにくい、修了条件が厳しいといった要因を疑えます。修了率が高くてもテスト結果が低い場合は、教材の伝え方や設問を見直す必要があります。
研修目的に応じて目標を設定する
求める水準は研修目的によって異なります。法令・コンプライアンス・情報セキュリティなど全員受講が必要な研修では、対象者の事情を整理したうえで、期限内の修了を目標にします。一方、任意参加のスキルアップ研修は、受講率だけで成否を決めず、対象者にとっての必要性や受講後の活用も見ます。
最初から一律の理想値を置くより、過去の受講実績、部門別の勤務形態、教材の所要時間を踏まえて目標を定めましょう。「受講率」「修了率」「テスト正答率」をセットで追うと、次に改善すべき点が見えやすくなります。
eラーニングの受講率が上がらない主な原因

原因を「受講者の意識」と決めつけると、通知を増やすだけの対策になりがちです。未受講、途中離脱、期限超過がどこで起きているかを分けて考えましょう。
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業務が忙しく、受講が後回しになる
日々の業務や繁忙期と研修が重なると、緊急性の高い仕事が優先されます。勤務時間内に受講する時間が決まっていなければ、受講者の空き時間や善意に頼る運用となり、後回しになりやすいでしょう。特に現場勤務やシフト勤務では、研修担当者が想定した時間帯に学べるとは限りません。
期限・所要時間・受講方法が分かりにくい
「今月中に受講してください」だけでは、受講者はいつ、どの程度の時間を確保すればよいか判断できません。URLやログイン方法が見つけにくい、修了条件が不明確といった小さな障壁も、開始の遅れや期限超過につながります。
教材が長い、または学習の流れが分かりにくい
一本の動画が長すぎる、資料が文字ばかり、教材の順番や残り時間が分からない場合、受講の心理的負担は大きくなります。
特に最初の単元に時間がかかると、「まとまった時間が取れたら始めよう」と考えて開始されません。途中保存や再開がしにくい教材も離脱の原因です。
端末・通信環境が受講に合っていない
PCを使えない職種にPC前提の研修を配信したり、スマートフォンで文字が読みにくかったりすると、内容以前に受講を諦めてしまいます。動画の容量が大きく通信が不安定、社内ネットワークからアクセスできない、ログイン情報を忘れた場合の支援がない、といった問題も確認が必要です。
研修の目的と業務とのつながりが見えない
「なぜ今この研修を受けるのか」「受講後にどの業務が変わるのか」が伝わらなければ、研修の優先順位は上がりません。制度変更、実際のトラブル、顧客対応、評価との関係など、受講者の仕事に引き寄せて目的を伝える必要があります。
通知が多すぎる、または要点がない
頻繁な一斉リマインドは見落とされやすく、かえって負担に感じられることがあります。誰にでも同じ文面を送ると、すでに修了した人にも不要な通知が届きます。未受講者、途中離脱者、期限間近の人に分け、必要な情報だけを届ける設計が必要です。
上司・管理者によるフォローがない
現場の上司が研修の目的や期限を把握しておらず、受講状況も確認しない場合、部下は業務より研修を優先しにくくなります。逆に、上司が受講時間を確保し、困っている人を支援する姿勢を示せば、研修は業務の一部として認識されやすくなります。
受講率を高める教材設計のポイント

教材は「内容が正しい」だけでなく、「始めやすく、最後まで進めやすい」ことが重要です。受講者が使う端末や業務の状況を前提に設計しましょう。
5〜15分程度の短い単元に分ける
長時間の教材は、5〜15分程度のテーマ単位に分割します。これがマイクロラーニングの考え方です。受講者は短い空き時間でも始めやすく、途中で中断しても再開しやすくなります。単元名は「第1章」だけでなく、「個人情報を誤送信したときの初動」のように、内容が分かる名称にするとよいでしょう。
ただし、細かく分けすぎて画面遷移が増えると、かえって操作の負担になります。学習テーマのまとまり、所要時間、再開のしやすさのバランスを見ながら設計します。
動画・資料・テストを目的別に組み合わせる
概念や手順の説明には動画、規程やチェックリストの参照には資料、理解の確認には小テストが適しています。すべてを動画にするのではなく、内容に合わせて形式を使い分けましょう。動画の後に一問でも確認問題を置くと、受け身の視聴で終わりにくくなります。
テストは復習の導線にもなります。誤答時に解説を表示し、どの資料に戻ればよいかを示しましょう。
スマートフォンでの見やすさと操作性を確認する
スマートフォン受講を想定する場合は、文字の大きさ、ボタンの押しやすさ、横スクロールの有無、動画再生、途中再開を実機で確認してください。長い表や細かいPDFは、スマホでは読みにくい場合があります。
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受講後の行動につながる導線をつくる
教材の最後には、「明日から確認すること」「現場で使う資料」「次に受ける関連講座」を示します。研修と実務がつながると、受講の意味を感じやすくなります。ケース問題、実践課題、上司との短い振り返りを組み合わせる方法も有効です。
受講を促す案内・リマインドの工夫

案内は、受講者が予定を立て、迷わず開始するための導線です。一斉通知だけに頼らず、進捗とタイミングに応じて出し分けましょう。
案内には期限・所要時間・受講方法を明記する
初回案内には、研修の目的、対象者、受講期限、標準所要時間、修了条件、受講URL、問い合わせ先を簡潔に記載します。教材の冒頭にも目的と所要時間を表示すると、受講者は見通しを持てます。期間が長い研修は中間期限を設け、受講ペースをつくることも有効です。
受講者が普段使う連絡手段を選ぶ
メール、社内チャット、ポータルサイト、業務アプリなど、日常的に確認される手段は職種・勤務形態で異なります。案内の入口とリマインドの入口を変える場合も、情報の内容とリンクは統一しましょう。個人端末の利用や通知時間には、社内ルールとプライバシーへの配慮が必要です。
未受講者と途中離脱者に通知を出し分ける
未受講者には、受講の目的、開始方法、所要時間を再度伝えます。途中離脱者には、「残り20分」「第3章から再開できます」といった進捗に応じた案内が効果的です。期限直前の一斉催促より、開始直後・中間期限前・期限数日前など、行動しやすいタイミングを設計しましょう。
そのまま使える案内文・リマインド文の例
初回案内の例
件名:必修|情報セキュリティ研修の受講について(6月30日まで)
本研修では、日常業務で扱う情報を適切に守るための基本を学びます。対象者は全社員です。所要時間は約30分、受講期限は6月30日です。以下のURLから受講し、確認テストの合格をもって修了となります。受講に困った場合は、人事部までご連絡ください。
途中離脱者へのリマインドの例
件名:研修の続きのご案内|残り約15分です
現在、研修は約半分まで進んでいます。前回の続きから再開できます。受講期限は6月30日です。業務上の都合で受講時間の確保が難しい場合は、上司または研修担当へご相談ください。
入社・異動・制度変更のタイミングで案内する
新入社員研修、部署異動、役割変更、制度・規程の改定など、業務上の必要性を実感しやすい時期に配信します。学ぶ理由が生まれる出来事に合わせて案内すると、受講の優先順位が上がります。
上司・管理者が受講を支援する方法

受講率を上げるには、現場の上司・管理者の協力が欠かせません。上司・管理者が、学習時間の確保と進捗のフォローを担うことで、受講しやすい環境をつくれます。
勤務時間内に受講時間を確保する
必須研修は、業務計画に組み込み、勤務時間内に受講枠を設けましょう。繁忙期を避けた期限設定や、チームごとに受講時間を決める方法が考えられます。
使用者の指示で参加が義務付けられた研修・教育訓練は労働時間として扱われるため、受講を業務時間外に委ねないこと、労働時間を適切に把握することが必要です(出典:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」)。
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上司へ進捗を共有し、日常の場で声をかけてもらう
研修担当者から上司へ、部下の未受講・途中離脱・修了状況を定期的に共有します。1on1、朝礼、チームミーティングなどで「受講できる時間は取れているか」「操作で困っていないか」を確認してもらうと、放置されにくくなります。個人の結果を必要以上に公開せず、閲覧範囲を適切に設定することも大切です。
未受講の理由を確認して個別に支援する
未受講者には、責める前に理由を確かめましょう。繁忙、シフト、端末、ログイン、教材の言語、内容の難しさなど、原因は人によって異なります。時間の再設定、端末の案内、教材の分割、上司による受講機会の確保など、理由に合った支援を行います。
学習成果を認め、次の行動へつなげる
修了証の発行、良い実践例の共有、研修後の発表やフィードバックは、学習の達成感を高めます。学んだ知識が評価や業務改善につながると示すと、次回以降の受講意欲も高まります。
LMSデータを使って受講率を改善する5つの手順

受講率は、LMSの進捗データ、アンケート、現場へのヒアリングを使い、原因に合う施策を試しながら段階的に改善します。
1. 現在の受講率・修了率を把握する
対象者数、開始者数、修了者数、テスト結果を確認し、基準をそろえて集計します。部署・拠点・職種・雇用形態・コース別に比較すると、全社平均だけでは見えない偏りを把握できます。まずは全体の数字を確認し、その後に数値が低いグループを掘り下げると、改善対象を絞り込みやすくなります。
2. 未受講・途中離脱・未修了を分けて原因を調べる
一度も開始していない人、途中で止まった人、視聴は終えたがテスト等の修了条件を満たしていない人では、原因と打ち手が異なります。LMSの履歴、受講後アンケート、現場ヒアリングを組み合わせ、推測ではなく事実を集めましょう。
3. 原因に合わせて改善策を優先する
通知の回数を増やしても、教材が長い、受講時間がない、端末が使いにくいという問題は解決しません。開始率が低ければ案内・時間・アクセス方法、離脱率が高ければ教材構成・操作性、テスト不合格が多ければ教材・設問を優先して見直します。部署ごとに原因が違う場合は、施策も分けます。
4. 施策実施後に数値と理解度を比較する
改善の前後で受講率・修了率・テスト結果を再計測し、対象者、期間、集計条件をそろえて比較します。受講率だけが上がり、正答率が下がっているなら、急いで視聴するだけの状態かもしれません。
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5. 効果があった運用を標準化する
施策の内容、実施時期、対象者、数値の変化を記録します。効果が確認できた案内文、通知タイミング、受講時間の確保方法は、次回の標準ルールに組み込みましょう。担当者が変わっても続けられるよう、手順・役割・例外時の対応を文書化し、定期的に見直します。
受講率向上に役立つLMSの機能と選び方

LMSを選ぶ際は、教材を配信できるかに加えて、進捗を把握し、対象者へ適切に働きかけ、改善につなげられるかを確認しましょう。
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進捗管理・組織別集計・データ出力
受講者ごとの未受講・受講中・修了を一覧で確認でき、部署・拠点・職種ごとに絞り込める機能が必要です。CSVやExcelで出力できれば、社内報告や追加分析にも活用できます。
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進捗や期限に応じた自動通知
開始していない人、一定の進捗で止まった人、期限が近い人へ、条件に応じて通知を送れるかを確認します。自動化しても通知文や配信頻度は設定が必要です。上司への共有も含め、受講者に過度な負担をかけない運用を設計しましょう。
テスト・アンケート・修了証
確認テスト、アンケート、修了証の発行機能があれば、受講の完了だけでなく理解度や満足度を確認できます。修了の条件を「視聴完了」「テスト合格」など研修目的に合わせて設定できるか、誤答時の復習につなげられるかを見ましょう。
管理者・受講者双方の使いやすさ
受講者登録、教材更新、進捗確認、権限設定にどの程度の作業が必要かを確認します。導入後のサポート、既存システムとの連携、初期費用・月額費用と、人数増加時の料金体系も比較対象です。デモや試験運用で、受講者と管理者の双方が実際に操作することをおすすめします。
eラーニングの受講率についてよくある質問

Q. eラーニングの受講率の目安はどのくらいですか?
A. 研修の種類によって目指す水準が変わります。法令・コンプライアンス・情報セキュリティなど全員受講が必要な研修は、対象者全員の期限内修了を目標にします。任意参加の研修は、過去の受講実績や部門ごとの勤務形態を基準に、前回より上げることを目標にすると現実的です。
Q. 業務時間外にeラーニングを受講させてもよいですか?
A. 受講を業務上義務づける研修の時間は労働時間に当たるため、業務時間外に受講させた場合も労働時間として扱う必要があります(出典:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」)。必須研修は、勤務時間内に受講枠を設けて計画的に受講してもらいましょう。
Q. リマインドはいつ、どのくらいの頻度で送ればよいですか?
A. 期限直前にまとめて送るより、開始直後・中間期限の前・期限の数日前など、受講者が行動しやすいタイミングに分けて送るのが効果的です。送る相手は未受講者と途中離脱者に絞り、すでに修了した人には送らないようにします。LMSの自動通知を使えば、進捗に応じた出し分けを手作業なしで行えます。
Q. 受講率と修了率はどちらを重視すべきですか?
A. 両方をセットで見ます。受講率は学習を始めた人の割合、修了率は修了条件を満たした人の割合で、受講率が高くても修了率が低ければ、教材の長さや操作性に問題がある可能性があります。理解度を確かめるために、確認テストの正答率もあわせて確認しましょう。
eラーニングの受講率向上ならWisdomBase
WisdomBaseでは、受講条件・自動ワークフローを設定し、進捗に応じた案内を自動化できます。
例えば「受講開始から1週間後、完了率が50%以下の受講者へメールを送る」「テスト不合格者にだけ追試を案内する」といった条件を設定すれば、研修担当者が未受講者を一人ずつ確認して催促する手間を減らせます。上司へのメール送信も設定できるため、上司が部下の遅れに気づいて声をかけるきっかけになります。
受講履歴やテスト結果は管理画面で確認でき、CSV・Excelで出力して部署別の集計や経営層への報告資料に使えます。修了証は「視聴完了」「テスト合格」などを条件に自動で発行されるため、修了者に一人ずつ発行する作業も発生しません。
WisdomBaseの詳しい機能や導入事例をまとめた資料を無料でご用意しています。「自社の研修で受講率をどこまで改善できるか相談したい」「具体的な費用感を知りたい」といったご相談やデモ画面のご案内も承っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
まとめ
eラーニングの受講率を上げるには、未受講、途中離脱、未修了を分けて原因を把握し、教材の短縮、受講時間の確保、分かりやすい案内、管理者のフォローを組み合わせることが重要です。
特に必須研修は、受講者個人の努力に委ねず、勤務と研修を両立できる計画をつくりましょう。施策は一度に増やしすぎず、課題の大きい箇所から試し、数値と現場の声の両方で効果を確かめることが、無理のない改善サイクルにつながります。
受講率・修了率・テスト結果を定期的に確認し、LMSのデータをもとに改善を続けましょう。研修を「配信して終わり」にせず、受講者が学びを業務で生かせる仕組みを整えることが、継続的な受講率向上につながります。
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