みなさんは禁忌肢という言葉を聞いたことがありますか?
聞いたこともないし、そもそも何て読むの!?と思われた方も多いと思います。
(禁忌肢の「忌」は忌引(きびき)の「忌」で「きんきし」と読みます)
馴染みのない言葉ですが、実はこれからお医者さんを目指す人たちの間では頻出のワードなんです。
禁忌肢(きんきし)って何?
禁忌肢とは、四択問題などの選択問題で、選んだ時点で失格になるような選択肢のことを指します。
禁忌肢の「禁忌(きんき)」は「してはいけないこと」「タブー」という意味なので、
禁忌肢 = 選んではいけない選択肢、とも言えます。
試験によっては、1回でも禁忌肢を選ぶと失格になるものから、複数の禁忌肢付きの問題があって、規定の回数以上、禁忌肢を選択すると失格になるものがあります。
医師国家試験で見られる禁忌肢
冒頭で、お医者さんを目指す人にとって禁忌肢は頻出ワードだとお伝えしましたが、実は医師国家試験には禁忌肢付きの選択問題が出題されます。
禁忌肢付きの問題を「ドボン問題」、禁忌肢を選んでしまって医師国家試験に落ちることを「禁忌肢落ち」と呼んだりもします。
医師国家試験の他にも、2021年度から薬剤師を目指す方が受験する薬剤師国家試験でも、禁忌肢付きの問題が出題されるようになりました。
どうして医薬の分野で禁忌肢が必要なの?
4択問題など、選択形式のテストを受けたことがある方は多いと思いますが、禁忌肢付きの問題を目にしたことがある方は、あまり多くないと思います。
なぜ、医薬の国家試験では一般的ではない禁忌肢付きの問題が採用されているのでしょうか?
それは、人の命に関わる医療の現場で、目の前の患者さんの生死に関わるような判断をしないといけない場合に、明らかに間違った選択をとるようなことがあってはいけないからです。
患者さんの病状を悪化させるような選択をしてしまったり、毒になるような薬を選んでしまうくらいなら、「何も選ばない方がいい」という考えです。
単純に知識を問うような状況では、そこまで考える必要はありません。
例えば以下のような英文法の問題について考えてみましょう。
I live ( ? ) Tokyo.
(A) in
(B) on
(C) at
(D) before
答えは (A) の in ですが、(B) 〜 (D) をヤマカンで選んでも誰かが死んでしまうようなことはないでしょう。
あなたが「私は東京に住んでいます。」と目の前の英語のネイティブスピーカーに言いたかった場合に、
I live on Tokyo.
I live at Tokyo.
と間違えてしまっても、文法的には正しくないですが、相手は言いたいことを理解してくれるでしょうから、大きな問題にはなりません。
一方で、以下の第113回 医師国家試験で実際に出題された禁忌肢付きの問題を見てみましょう。
(A) 内服PUVA療法
(B) 生物学的製剤注射
(C) ビタミンA誘導体内服
(D) 活性型ビタミンD3外用
(E) 副腎皮質ステロイド外用
この中で (C) のビタミンA誘導体内服は禁忌肢です。
ビタミンA誘導体の内服は催奇形性があり、お医者さんが (C) の治療法を選んでしまうと、お腹の中の赤ちゃんの奇形につながってしまう可能性があります(ちなみに正解は (E) です)。
自分が患者の立場でも、よく分からない選択をされて重大な障害が残ってしまうくらいなら、何も選択して欲しくない、と思いますよね。
英文法の問題でも、相手が文法を間違えると殴りかかってくるようなヤバい人だったり、前置詞1つの間違いで、国の命運が変わるような外交交渉の場なら、前置詞の選択にも禁忌肢を取り入れた方がいいかもしれませんが、そのような極端な状況はまず起こることがありません。
禁忌肢によく似た減点選択肢
選択したとたんに失格にはなりませんが、減点にはなっていまう、減点選択肢というものもあります。
何も選ばなければ0点ですが、減点選択肢を選ぶと -1点になるような選択肢です。
機械を扱う技能士の国家試験などに見られる形式で、よく分からないボタンを押して機械を故障させてしまうくらいなら、何も押さない方がいいという考えのもと、このような方式が採用されていると考えられます。
人の命に関わるような選択には禁忌肢付きの問題が、命に関わらないまでも、知らないなら何も選んで欲しくないような選択には減点選択肢の問題が採用されていることを考えると、各職業に就く人の現場の実情に沿うように、テストがうまく設計されていることが分かります。
WisdomBase(ウィズダムベース)でも禁忌肢付き問題の出題が可能
WisdomBaseなら、柔軟なカスタマイズで禁忌肢付き、減点選択肢付きの問題を出題することが可能。
WisdomBaseでは各種検定試験、社内試験のオンライン化に際し、ご希望に応じたカスタマイズが可能です。選択問題の各選択肢に部分点を付けたり、禁忌肢付きの設問で、禁忌肢を選択した人を失格にするようなオンライン試験の構築が可能です。
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