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人材開発支援助成金で約1億円が不正受給!不正の実態や罰則を解説

はじめに

「人材開発支援助成金を活用して、eラーニングサービスを立ち上げたい。」

そう考える研修会社の代表の方にとって、見過ごせないのが「不正受給」のリスクです。

補助金制度は魅力的である一方、ルールに反した申請や運用が発覚すれば、返還命令や罰則、最悪の場合は事業継続すら脅かされる深刻な事態に発展しかねません。

実際、近年では約1億円規模の不正受給も報道されており、制度の厳格化も進んでいます。

本記事では、人材開発支援助成金における不正受給の概要や事例、改定された制度内容とペナルティ、そして助成金申請に対応したLMSの紹介まで、知っておくべきポイントを網羅的に解説します。

なお、人材開発支援助成金を活用した研修サービスの提供を検討されている方は、下記の記事もご参考いただけます。

【新規事業】リスキリング研修立ち上げのポイントと成功事例
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【研修提供企業向け】リスキリング研修ビジネスを成功に導く学習管理システムの選び方
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人材開発支援助成金とは

人材開発支援助成金は、厚生労働省が所管する雇用関係助成金の一つで、企業が従業員に対して職業能力開発や訓練を行う際に、その訓練費用や賃金の一部を国が助成する制度です。

助成金の活用により、中小企業でも高度な研修を導入しやすくなり、DXやリスキリングといった現代の課題にも対応しやすくなるメリットがあります。

その一方で、「助成金ありき」の事業設計によって制度の趣旨を逸脱した不正利用も問題視されています。

人材開発支援助成金で約1億円が不正受給!不正受給の概要

2024年10月、会計検査院が実施した調査により、「人材開発支援助成金」の支給を受けた事業主の一部で、不正受給にあたる重大な事案が確認されました。

調査対象となった113事業主のうち、8労働局の管轄下にある32の事業主が、訓練実施機関等から金銭の入金を受けていた事実が判明し、本来事業主が全額負担すべきとされる訓練経費の一部または全部を実質的に負担していなかったことが明らかとなりました。

このうち、2事業主は対価の提供すら確認できないまま金銭を受け取っており、明確な助成金要件違反として約239万円の返還が求められています。また残る30事業主についても、「感想文提出」や「写真撮影への協力」などを名目とした“業務契約”に基づき訓練機関から報酬を受け取っていたものの、実際にはほとんど業務実態が確認できないケースも多数存在し、結果として総額約1億700万円が不適正な支給と認定されました。

これらのスキームでは、助成金と訓練機関からの入金を合算することで、企業が訓練経費を実質的に負担せずに制度を利用していた構図が浮かび上がっています。中には、「教育訓練を実質無料で提供できる」と説明された資料を受け取り、正当な負担意識なく訓練を委託していた事例も報告されており、制度のモラルハザードが深刻化している実態が明らかになりました。

出典:会計検査院 雇用保険の人材開発支援助成金の支給について https://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/6/pdf/061009_1.pdf

不正受給となった事例

ここでは会計検査院で報告されている不正受給となった事例をご紹介します。

感想文を提出し“実質無料”で訓練受講、形式だけの費用負担

東京労働局が令和5年に助成金支給を決定した事業主Cのケースでは、表面上は訓練経費264万円を訓練実施機関に支払っていたものの、実際には同年に75万円あまりの金額が、関連団体から事業主Cに「広告宣伝レビュー代」として返金されていたことが判明しました。

この返金は、「受講者の感想文を提出すれば支払いがある」といった契約に基づいたもので、助成金188万円と返金額75万円を合わせると、事業主が訓練に支払った金額とぴったり一致する構図です。つまり、事業主は実質的に訓練費用を負担しておらず、助成金と訓練機関からの“キックバック”によって制度を利用していたことになります。

当時の制度要領ではこのようなケースへの明確な取扱いが示されていなかったため、労働局は「支給要件を満たしていないとまでは断定できない」としていますが、制度の趣旨である「企業の全額負担」が守られていない以上、適切な受給とは言えないと指摘されています。

虚偽の領収書を提出し、経費未支払いのまま助成金を申請

兵庫労働局は、事業主Aから提出された特別育成訓練コースの支給申請書をもとに、令和3年4月、助成金約267万円の支給を決定しました。しかしその後の調査により、事業主Aは職業訓練にかかった経費を訓練実施機関に一切支払っていなかったことが発覚しました。

にもかかわらず、支給申請書には、訓練実施機関が事業主Aから費用を受け取ったとする虚偽の領収書が添付されており、虚偽の書類によって支給が行われていました。これは助成金の支給要件を明確に満たしておらず、会計検査院の指摘により、支給された全額が返還されました。

出典:会計検査院 会計検査院検査報告データベース
https://report.jbaudit.go.jp/index.html

【2024年11月】人材開発支援助成金の改定事項

2024年11月5日、厚生労働省は「人材開発支援助成金」に関する制度運用を大きく見直し、訓練経費の負担に関する取扱いを明確化しました。

これは、教育訓練機関から事業主に対して実質的に経費を返金するような不適切な事例が相次いだことを受けた措置です。

今後は、「見かけ上の支払」や「形式的な業務契約」を通じた訓練費用の還流があった場合、その訓練経費は助成対象とならないことが、より明確に示されました。

教育訓練機関からの金銭提供がある場合は助成対象外に

改定された指針では、助成金を受け取るための基本要件として、「申請事業主が訓練経費を全額自己負担していること」が改めて強調されています。以下のようなケースに該当する場合は、助成対象経費と認められません。

  • 教育訓練機関やその関連者からの金銭、物品、クーポン、貸付、サービスなどによる便宜提供がある場合
  • 「広告宣伝レビュー」や「受講者の感想提出」などを名目に、訓練機関から金銭を受け取った場合
  • 「実質無料で研修を受けられる」といった説明や営業提案を受け、その結果として金銭が提供された場合
  • 教育訓練機関等との間で業務契約を結び、契約内容に関係なく経費の一部が還流されている場合

このような取引は、訓練経費を企業が実質的に負担していないと判断され、支給要件に違反するものとされます。

今後は、教育訓練機関との契約経緯や支払状況の詳細な確認が求められ、審査が一層厳格になります。

新たに求められる提出書類と審査体制の強化

改定にともない、計画届(および計画変更届)には以下の内容が追加されます。

  • 教育訓練機関と契約を結んだ経緯の記載
  • 訓練機関から受領した負担軽減に関する説明資料(受講案内を除く)の提出義務
  • 訓練経費の支払証憑の明確化

また、訓練経費に対して助成金と教育訓練機関からの入金額の合計が「訓練費と同額」になるようなケースは、特に不正が疑われるパターンとされ、厳しく審査されます。

不正受給が発覚した場合の重いペナルティ

万が一、人材開発支援助成金の不正受給が発覚した場合、事業主は非常に厳しいペナルティを科されることになります。その内容は、単に「知らなかった」では済まされないほど深刻なものです。

  • 助成金の全額返還
  • 返還額の2割に相当する延滞金の請求
  • 事業主名・代表者名・訓練機関名の公表
  • 今後5年間にわたる助成金の受給停止
  • 悪質な場合は刑事告発の可能性

「代理人に任せていた」「自分は知らなかった」といった主張も、代表者の責任逃れとして認められない点が強調されており、経営者自らが制度の理解と適正運用に努めることが求められています。

人材開発支援助成金の申請に対応したLMSをお探しならWisdomBase

wisdombase wisdombase.share-wis.com 人材開発支援助成金を活用してeラーニング研修を実施する際、その成否を左右する重要な要素の一つが、適切なLMS(学習管理システム)の選定です。不正受給のリスクを回避し、スムーズな助成金申請を実現するためには、LMSがどのような機能を備えているかが鍵となります。

もしあなたが、「人材開発支援助成金の要件を満たせるLMSはないだろうか」「不正が疑われるような曖昧な記録ではなく、客観的で信頼性の高い学習データを提供したい」とお考えなら、当社が提供するWisdomBase(ウィズダムベース)を一度ご検討いただければと思います。

人材開発支援助成金申請に必要な機能を搭載

リスキリング研修の助成金申請には、厳格な条件を満たす必要があります。WisdomBaseは、助成金要件をクリアするための機能を標準搭載 しており、スムーズな申請をサポートします。

機能 説明
受講証明書発行機能 助成金申請の際、受講の証明が必須。WisdomBaseでは、オリジナルデザインの受講証明書を自動発行できるため、申請業務を大幅に効率化。
受講履歴エクスポート機能 受講者の学習状況をCSVやExcelでエクスポート可能。助成金申請に必要なデータを簡単に管理・提出できる。
動画の早送り・スキップ制限機能 助成金対象の研修では受講時間が厳密に管理されるため、動画のスキップ・早送りを制限する機能を搭載。適正な受講管理が可能。
受講時間の制限 受講者がサイトを利用できる時間を制限する機能です。勤務時間のみにアクセスを制限し、助成金の受給対象外にならないようにします。
離席時動画停止機能 受講中に離席した場合、自動で動画が停止し、学習状況を正確に記録。
顔認証機能 & インカメラ監視機能 受講者が本人であることを確認するための顔認証機能を搭載。さらに、インカメラによる監視機能も備えており、なりすまし受講を防ぐ。

申請実績のある社労士をご紹介

助成金の申請には専門的な知識が求められるため、社労士との連携が不可欠 です。当社は助成金申請の実績が豊富な社労士をご紹介いたします。申請の成功率を高めることができます。

WisdomBaseを活用することで、研修運営の効率化はもちろんのこと、人材開発支援助成金の申請における「訓練の実施実態」や「学習時間」といった重要なポイントを、客観的なデータで明確に示すことができます。

ご関心がございましたらぜひ一度お問い合わせください。 wisdombase.share-wis.com wisdombase.share-wis.com

まとめ

この記事では、人材開発支援助成金の概要から、不正受給の実態、具体的な事例、そしてその罰則と対策について詳しく解説してきました。重要なのは、常に最新の情報を入手し、法令を遵守する意識を持ち続けることです。

そして、eラーニングを提供する際には、WisdomBaseのような信頼性の高いLMSを選定し、学習時間や進捗状況を客観的かつ正確に記録・管理することが、不正受給リスクを回避するための最も確実な方法の一つと言えるでしょう。

あなたの会社が、高品質で信頼性の高い研修サービスを提供し、顧客企業の人材育成に貢献するとともに、健全な助成金活用を支援することで、社会全体の発展に寄与できることを心から願っています。この記事が、その一助となれば幸いです。