オンライン試験マガジン

オンライン試験マガジンは、IBTや試験の運用法などオンラインテストに関するノウハウや最新情報を発信するWebメディアです。試験に強いLMSであるWisdomBaseを提供している株式会社シェアウィズが運営しています。

人材開発支援助成金はeラーニングで使える?要件・助成率・申請方法を解説

人材開発支援助成金はeラーニングで使える?要件・助成率・申請方法を解説

人材育成やリスキリングの必要性が高まる一方で、「研修コストがネック」「eラーニングを導入したいが費用対効果が見えない」と悩む企業も多いのではないでしょうか。
人材開発支援助成金を活用すれば、eラーニングを含む社員研修の費用負担を軽減し、計画的な人材育成を実現できます。

本記事では、人事・研修担当者向けに、人材開発支援助成金をeラーニングで活用する方法や注意点を分かりやすく解説します。

【この記事の要約】

  • 人材開発支援助成金は、eラーニングを含む社員研修の費用を国が助成する制度
  • 人材開発支援助成金は、eラーニングを含む社員研修の費用を国が助成する制度
  • 助成金活用にはLMSによる受講管理や不正受給を防ぐ運用体制が欠かせない

【関連記事】
wisdombase.share-wis.com

人材開発支援助成金とは?eラーニング活用の基本

人材開発支援助成金とは、企業が従業員に対して計画的な職業訓練(Off-JT)を実施した場合に、その訓練経費の一部を国が助成する制度です。厚生労働省が管轄しており、人材育成・リスキリングを後押しする代表的な助成金として多くの企業で活用されています。

eラーニングも、一定の要件を満たせばこの助成金の対象となります。集合研修と異なり、場所や時間の制約を受けにくいeラーニングは、近年のDX推進や多様な働き方に対応した研修手法として特に注目されています。

【関連記事】 wisdombase.share-wis.com

助成金活用における基本的な考え方

人材開発支援助成金を利用するうえで最も重要なのは、「事業主が訓練経費を全額負担することが前提」という点です。助成金は後払い方式で支給されるため、研修実施時点では企業が一度すべての費用を支払う必要があります。

そのため、以下のようなケースは助成対象外となります。

  • 教育訓練機関からキャッシュバックを受ける
  • 広告宣伝協力費などの名目で実質的な値引きが行われる
  • 助成金を前提に不自然に高額な受講料が設定されている

「実質無料で研修が受けられる」といった説明には注意が必要です。

事前に求められる社内体制の整備

助成金を活用するには、研修を実施する前に一定の社内体制を整えておく必要があります。具体的には、

  • 職業能力開発推進者の選任
  • 事業内職業能力開発計画の策定・社内周知

が求められます。これは形式的な手続きではなく、「企業として計画的に人材育成に取り組んでいるか」を確認するための重要なポイントです。

eラーニング活用時に特に重要な点

eラーニングで助成金を活用する場合、受講実態を客観的に証明できることが不可欠です。そのため、多くのケースで学習管理システム(LMS)の利用が実質的に必須となります。

誰が・いつ・どの研修を・どれだけ受講し、修了したのかを正確に記録・証明できなければ、助成金の支給が認められない可能性があります。

eラーニングが対象となる主な助成金コース

人材開発支援助成金には複数のコースがありますが、eラーニングで活用できるコースは限られています。ここでは、人事・研修担当者が特に押さえておくべき代表的な3つのコースを解説します。

eラーニング対応コースの全体像と助成率

まずは、eラーニングが対象となる主なコースと助成内容を整理しておきましょう。

コース名 中小企業 大企業 eラーニング対応 主な活用シーン
人材育成支援コース 経費45% 30% 階層別・職種別研修
人への投資促進コース 経費60% 45% 定額制・受け放題研修
事業展開等リスキリング支援コース 経費75% 60% DX・新規事業対応

※eラーニングは原則として経費助成のみが対象となり、賃金助成は対象外です。

人材育成支援コース

人材育成支援コースは、もっともベーシックで利用しやすい助成金コースです。企業が実施する業務に関連したOff-JT研修が対象となり、eラーニングによる研修も条件を満たせば助成対象になります。

主な活用例としては、以下のような研修が挙げられます。

  • 新入社員研修
  • 管理職・リーダー研修
  • 職種別スキル研修

幅広い研修に対応できる一方で、助成率は他のコースと比べるとやや低めです。そのため、「まずは助成金を使った研修を試したい」「階層別研修を効率化したい」といった企業に向いています。

人への投資促進コース

人への投資促進コースは、従業員の自律的・継続的な学び直し(リスキリング)を支援する目的で設けられたコースです。
特に、定額制・受け放題型のeラーニングサービスと非常に相性が良い点が特徴です。

対象となりやすい研修テーマには、以下のようなものがあります。

  • DX・ITリテラシー
  • データ分析・生成AI
  • デジタルマーケティング

このコースでは、LMSを活用した受講管理や修了確認が厳格に求められます。そのため、受講状況を正確に記録・証明できる体制を整えることが重要です。

事業展開等リスキリング支援コース

事業展開等リスキリング支援コースは、新規事業の立ち上げや事業転換に伴うスキル習得を支援するためのコースです。3つの中で最も助成率が高く、戦略的な人材育成を行う企業に適しています。

主な対象分野は以下のとおりです。

  • DX推進・業務改革
  • AI・IoT・データ活用
  • 新サービス・新事業対応スキル

「将来の事業成長を見据えたリスキリング」を目的とする場合、このコースが選択肢となるケースが多いでしょう。

【目的別】どの助成金コースを選ぶべき?

人材開発支援助成金は複数のコースが用意されているため、「どのコースを選べばよいのか分からない」と感じる担当者も少なくありません。
ここでは、企業の目的別に適した助成金コースを整理します。

全社員の底上げ・継続的な学びを促進したい場合

全社員を対象に、ITリテラシーやDXの基礎、ビジネススキルなどを幅広く学ばせたい場合は、人への投資促進コースが適しています。

定額制・受け放題型のeラーニングと組み合わせることで、従業員が自分のペースで学習できる環境を整えやすく、学び直しの文化を社内に根付かせやすい点がメリットです。

DX推進・新規事業に必要な人材を育成したい場合

DX推進や新規事業の立ち上げなど、明確な事業戦略と紐づいた人材育成を行う場合は、事業展開等リスキリング支援コースが有力な選択肢になります。

助成率が高く、AI・データ分析・ITスキルといった専門性の高い研修にも対応できるため、将来を見据えた投資として活用しやすいコースです。

階層別・職種別研修を効率化したい場合

新入社員研修や管理職研修、職種別スキル研修など、従来から行っている研修をeラーニングに置き換えたい場合は、人材育成支援コースが適しています。

助成率はやや低めですが、対象範囲が広く、初めて助成金を活用する企業でも比較的取り組みやすい点が特徴です。

コース選定で重要な考え方

助成金コースは「助成率の高さ」だけで選ぶべきではありません。
自社の人材育成の目的や研修内容、対象人数に合ったコースを選ぶことが重要です。

また、年度ごとに要件や対象範囲が変更される可能性があるため、最新情報を労働局や社会保険労務士に確認しながら進めることをおすすめします。

【混同注意】「人材開発支援助成金」と「IT導入補助金」の違い

eラーニングを導入する際、よく比較されるのが「IT導入補助金」です。

「研修の中身(受講料)」に対して出るのが人材開発支援助成金、「システムの箱(ソフトウェア代)」に対して出るのがIT導入補助金と覚えると分かりやすいでしょう。

制度名 人材開発支援助成金 IT導入補助金
管轄 厚生労働省 経済産業省
対象経費 「研修の受講費用」 (社員が学ぶためのコンテンツ利用料や講師謝金など) 「ソフトウェア購入・導入費」 (LMSの構築費やシステム利用料など)
目的 「人」のスキルアップ支援 「企業」の業務効率化・生産性向上

「外部の研修サービスを社員に受けさせたい」場合は、人材開発支援助成金、「自社専用の研修ポータル(LMS)を構築したい」場合はIT導入補助金が適しています。

【関連記事】 wisdombase.share-wis.com

eラーニング研修で人材開発支援助成金を活用する際の重要ポイントと申請の流れ

eラーニングで人材開発支援助成金を活用するためには、研修内容だけでなく、運用方法や申請手続きも重要になります。ここでは、申請前に押さえておくべきポイントと、基本的な申請の流れを解説します。

eラーニング活用時に押さえておくべき主な要件

まず、eラーニング研修が助成対象となるためには、一定の条件を満たす必要があります。代表的な要件は以下のとおりです。

  • 1コースあたりの標準学習時間が10時間以上、または標準学習期間が1か月以上であること
  • 研修内容が業務に関連したOff-JTであること
  • 研修計画に基づき、計画期間内に修了していること

これらの要件を満たしていない場合、研修内容が適切であっても助成対象外となる可能性があります。

LMS(学習管理システム)の利用が実質的に必須

eラーニング研修では、「誰が・いつ・どの研修を・どれだけ受講したか」を客観的に証明できることが不可欠です。そのため、多くのケースでLMSの利用が実質的に必須となります。

受講履歴や修了状況を正確に記録できない場合、支給申請時に証拠書類として認められず、不支給となるリスクがあります。修了証明書の発行や受講ログの保存ができる仕組みを整えておきましょう。

【関連記事】 wisdombase.share-wis.com

就業時間内での受講管理に注意

eラーニング研修は原則として賃金助成の対象外ですが、受講時間が労働時間に該当するかどうかは重要な論点です。

所定労働時間外や休日に受講させる場合は、時間外手当や休日手当などの割増賃金を適切に支払う必要があります。これを怠ると、助成金の不支給だけでなく、労務トラブルにつながる可能性もあります。

人材開発支援助成金の申請手続きの流れ

申請手続きは、大きく以下の流れで進みます。

  1. 職業能力開発推進者の選任
  2. 研修計画の作成・提出(研修開始日の1か月前まで)
  3. 研修の実施(LMSで受講状況を記録)
  4. 支給申請に必要な書類の準備
  5. 研修修了日の翌日から2か月以内に支給申請を提出

書類不備や期限超過は不支給につながるため、計画段階から余裕を持って進めることが重要です。

【要注意】eラーニング活用時に不正受給とならないために

人材開発支援助成金は企業にとって非常に有用な制度ですが、運用を誤ると不正受給と判断されるリスクがあります。特にeラーニングは受講実態が見えにくいため、慎重な対応が求められます。

「実質無料」をうたう研修サービスには注意

助成金を巡っては、「助成金を使えば実質無料で研修が受けられる」といった不適切な説明を行う事業者も存在します。しかし、人材開発支援助成金は事業主が訓練経費を全額負担することが大前提です。

以下のようなケースは、助成対象外または不正受給と判断される可能性があります。

  • 教育訓練機関からキャッシュバックを受ける
  • 広告宣伝協力費などの名目で金銭が還流する
  • 助成金を前提に不自然に高額な受講料が設定されている

これらは形式上問題がなさそうに見えても、「実質的な負担額が軽減されている」と判断されると不支給となります。

受講実態の偽装・管理不備もリスク要因

eラーニングの場合、受講実態を正確に管理できていないと、不正と見なされるリスクが高まります。

例えば、

  • 実際には受講していないのに修了扱いにしている
  • 受講時間を水増しして申請している
  • 本人以外が受講している(なりすまし)

といったケースは重大な問題となります。LMSを活用し、受講ログや修了証明を客観的に残すことが不可欠です。

不正受給が発覚した場合のリスク

不正受給が認定された場合、助成金の返還だけでなく、企業名の公表や刑事告訴に発展する可能性もあります。また、将来的に助成金の利用が制限されることもあります。

なお、助成金の申請代行は社会保険労務士の独占業務です。無資格のコンサルタント等に申請を依頼すること自体が法令違反となる点にも注意しましょう。

不明点や不安がある場合は、安易に判断せず、管轄の労働局や社会保険労務士に相談することが安全な選択です。

【関連記事】 wisdombase.share-wis.com

eラーニング×人材開発支援助成金のユースケースをご紹介

人材開発支援助成金は、業種や企業規模を問わず、さまざまなeラーニング研修に活用できます。ここでは、実際に多くの企業で成果につながっている代表的なユースケースを紹介します。

1. 生成AI研修で業務効率化(事業展開等リスキリング支援コース)

  • 課題: 書類作成に時間がかかり、コア業務に集中できない。
  • 対策: eラーニングで「プロンプトエンジニアリング講座」を全社員に実施。
  • 効果: 翻訳・要約業務が70%削減。助成金活用で研修コストを大幅に圧縮。

2. データ分析スキル習得で内製化(人材育成支援コース)

  • 課題: 広告運用を外注していたが、ノウハウがたまらずコストも高い。
  • 対策: ECチームに「Webマーケティング・データ分析研修」を実施。
  • 効果: 広告の内製化に成功し、売上が昨対比130%アップ。

人材開発支援助成金×eラーニング よくある質問(Q&A)

Q. アルバイトやパート社員も対象になりますか?

  1. 今回ご紹介した主要コース(人材育成支援コース等)は、原則として「正規雇用労働者(正社員)」が対象です。非正規雇用労働者を対象とする場合は、「キャリアアップ助成金(正社員化コース等)」など別の制度の活用を検討する必要があります。

Q. 自宅やカフェ、通勤中に受講させてもいいですか?

  1. 可能ですが、業務命令として受講させる場合は「労働時間」として扱う必要があります。自宅での受講であっても、その時間分の賃金(時間外であれば割増賃金)を支払う義務が生じます。また、LMSのログで学習時間が証明できることが必須です。

Q. YouTubeの無料動画を教材にしてもいいですか?

  1. 助成金は「かかった経費」の一部を助成するものです。したがって、無料のYouTube動画を見るだけの研修は経費が発生しないため対象外です。有料のeラーニング講座や、外部講師へ謝金を払って作成したオリジナル教材などが必要です。

人材開発支援助成金に対応した研修を提供するならWisdomBase

wisdombase

人材開発支援助成金を活用したeラーニング研修は、受講企業だけでなく、研修を提供する企業(研修会社・教育事業者)にとっても大きなビジネスチャンスです。ただし、助成金対応研修を提供するためには、通常のeラーニング以上に厳格な運用要件を満たす必要があります。

助成金対応研修で研修提供企業に求められること

助成金対応研修では、以下のような点が強く求められます。

  • 受講実態を客観的に証明できること
  • 受講時間・修了状況を正確に管理できること
  • 申請時に必要な証跡データを提出できること

これらを満たせない場合、受講企業側が助成金を受給できず、結果として研修サービスそのものの信頼性を損なうリスクがあります。そのため、助成金要件に対応したLMS選定が極めて重要になります。

助成金申請に必要な機能を備えたLMS

WisdomBaseは、人材開発支援助成金を活用したeラーニング研修の提供を想定して設計されたLMSです。助成金対応に必要な機能を標準で備えており、研修提供企業・受講企業双方の負担を軽減します。

受講証明書の発行機能により、修了証明を自動で作成・管理できます。また、受講履歴や学習ログはCSVやExcel形式で出力でき、助成金申請時の証跡資料としてそのまま活用可能です。

さらに、動画の早送り・スキップ制限や離席時の自動停止機能により、形式的な受講を防ぎ、実態に即した受講管理を実現します。

助成金対応リスキリングコンテンツの提供も可能

WisdomBaseでは、LMSの提供だけでなく、助成金要件に対応したリスキリング研修コンテンツの提供も可能です。研修動画を一から制作する必要がなく、スピーディーに研修サービスを立ち上げることができます。

生成AI、データ活用、DX推進など、助成金活用ニーズの高いテーマにも対応できるため、研修メニュー拡充を検討している企業にも適しています。

助成金申請実績のある社労士との連携支援

助成金申請は専門性が高く、研修提供企業だけで完結させるのは難しいケースも少なくありません。WisdomBaseでは、人材開発支援助成金の申請実績がある社会保険労務士の紹介も行っています。

受講企業が安心して助成金を活用できる体制を整えることで、研修サービスの付加価値を高め、他社との差別化にもつながります。

wisdombase.share-wis.com wisdombase.share-wis.com

まとめ

人材開発支援助成金とeラーニングを組み合わせることで、企業は研修コストの負担を抑えながら、計画的かつ継続的な人材育成を実現できます。DXやリスキリングが求められる現在において、この制度は人事・研修担当者にとって非常に有効な選択肢です。

一方で、助成金を活用するためには、対象コースの正しい選定や、LMSを活用した厳格な受講管理、申請手続きの遵守が欠かせません。不正受給や運用ミスは大きなリスクとなるため、制度を正しく理解し、慎重に進めることが重要です。

自社の人材育成方針や事業戦略に合った形で助成金を活用できれば、単なるコスト削減にとどまらず、組織力の強化や事業成長につながります。この機会に、人材開発支援助成金を活用したeラーニング導入を検討してみてはいかがでしょうか。