はじめに
司法試験の受験方法が2026年から大きく変わることは、受験生はもちろん、教育機関にも大きな影響をもたらします。
従来の紙の筆記試験からパソコンを使ったCBT(Computer Based Testing)方式への切り替えは、不安や戸惑いを感じる方も多いでしょう。
当ブログを運営しているシェアウィズは、WisdomBaseというオンライン試験システムを提供しています。
実際に、司法試験CBT化に伴い、教育機関さまから試験システムのお問い合わせをいただいています。
このような背景もあり、今回は司法試験CBTシステム体験版を実際に使ってみた感想や確認しておくべきポイントなどまとめてみました。
その他、司法試験CBTの導入スケジュール、実際の試験方法など、みなさんの疑問や不安に寄り添いながら、前向きに準備を進めるヒントをお届けします。
※本記事は、2025年6月13日時点の情報を元にしています。最新の情報は法務省の「司法試験及び司法試験予備試験のデジタル化について」をご確認ください。
- はじめに
- 司法試験CBT方式とは?
- 司法試験CBTはいつから始まる?スケジュールと導入の流れ
- 司法試験CBTの試験実施方法
- CBTで使用されるパソコン環境
- 司法試験CBTシステムの体験版とは?使い方と活用法
- 司法試験CBT体験版を使ってみた
- 司法試験等CBTシステム(体験版)で確認すべきポイントは?
- 司法試験CBT化への具体的な対策と勉強法
- 筆記試験をオンラインで実施するならオンライン試験システムWisdomBase
- 司法試験CBTの全体まとめ
司法試験CBT方式とは?
司法試験CBTとは、パソコンを使って答案を作成しデジタルで提出・採点を行う試験方式です。
これまでの手書き試験とは異なり、試験運営の公平性や効率性が大きく向上すると期待されています。
とはいえ、受験生にはタイピングの速さや正確さ、画面上での情報処理能力など、これまで以上に新しいスキルが求められます。
法律知識に加え、デジタルスキルも身につけていく必要があるため、これまでの学習スタイルを少しずつアップデートしていきましょう。
司法試験CBTはいつから始まる?スケジュールと導入の流れ
法務省は2026年(令和8年)から司法試験及び司法試験予備試験のCBT方式導入を正式に発表しています。
2025年(令和7年)からは、オンラインでの出願や受験票・成績通知書の電子交付といった周辺サービスのデジタル化も段階的に開始される予定です。
これにより、受験生は従来の紙媒体による書類提出から解放され、スマートフォンやパソコンを使った利便性の高い手続きを経験することになります。
また、2026年(令和8年)からは受験手数料のキャッシュレス化もスタートし、全体の受験プロセスが一気にデジタルへと移行します。
受験生や教育機関はこれらの変化に対応するため、スケジュール管理や機器準備を早めに始めることが重要です。
▼司法試験デジタル化のスケジュール
年度 | 施策内容 | 備考 |
---|---|---|
2025年 | 出願・受験票・成績通知のオンライン化 | 段階的に実施 |
2026年 | 短答式試験・論文式試験のCBT導入 ※予備試験は論文式試験のみ | 受験手数料のキャッシュレス化開始 |
司法試験CBTの試験実施方法
試験場は、CBT方式による各種試験が実施されている「CBTテストセンター」で実施すると公表されています。
また同センターに設置されているパソコン等を使用する予定です。問題のスキップや見直しも自由に行え、時間管理はパソコン上で自動的に制御されます。
答案構成用紙(メモ用紙)は配布される
すべてのCBT試験で、答案構成用紙(メモ用紙)は配布予定です。また用紙は受験者が持ち帰ることができる予定です。
CBT試験の注意点
注意すべきは、試験会場での操作ミスやタイピング速度の差が試験結果に影響する可能性がある点です。
慣れていないパソコン操作は受験生のストレス要因となるため、事前に体験版で操作を繰り返し練習し、実践力を高めておくことが合格のカギとなるでしょう。
CBTで使用されるパソコン環境
2025年6月13日時点の司法試験CBTに使用予定のパソコンは以下の通りです。
項目 | 仕様 |
---|---|
OS | Windows 11 Pro |
CPU | 1.5 GHz以上マルチコア |
メモリ | 8GB以上 |
画面解像度 | 1920×1080ピクセル以上 |
モニターサイズ | 19 インチ以上 または 23 インチ以上 ※CBTテストセンターに設置されているPCを使用予定 |
キーボード | 日本語配列(106キーボード、108/109キーボード、112キーボードのいずれか) |
マウス | あり |
使用可能なショートカット | ・Ctrl+C(コピー) ・Ctrl+V(貼付け) ・Ctrl+X(切取り) ・Ctrl+Z(元に戻る) |
司法試験CBTシステムの体験版とは?使い方と活用法
法務省が公開する司法試験CBTシステム体験版は、司法試験本番の環境を模擬した公式ツールであり、受験生が実際の試験操作に慣れるために最適です。
この体験版には、令和6年司法試験の試験問題及び試験用法文が搭載されています。
短答式と論文式それぞれの試験形式に対応し、画面構成や入力方法、時間管理機能を試すことができます。
Windows11環境で推奨スペックを満たすパソコンにて利用し、問題の閲覧や答案の入力練習、操作方法の習熟に活用できます。
体験版のダウンロード方法
ダウンロードは、下記のページの「司法試験等CBTシステム(体験版)
より可能です。
インストールの方法や使用方法は以下のマニュアルをご参照ください。
司法試験CBT体験版を使ってみた
ここでは、実際に体験版を使ってみた感想をお伝えしたいと思います。
まず結論としては、操作は簡単だと思いました。
動作も思っていたよりスムーズで、普段の業務でパソコンを使用している方であれば、すぐに操作できそうという印象です。
過去にもWeb試験を何度か受験したことがありますが、それらと比べても大きな変わりはありませんでした。
もちろん、初見でどの位置にどの機能があるのかわかっていない状態でしたら戸惑うことはありますが、それはどのようなシステムでも起こり得ることです。 何度か操作することで問題なく使いこなせるようになるでしょう。
体験版の画面イメージ
こちらは論文式試験の画面イメージ図です。※実際の画面とは異なります。
左側に問題エリア、右上に法文エリア、右下に答案エリアが配置されています。
それぞれ必要に応じて、表示のオンオフができますし、画面幅も好みの幅に調整できます。
また、「構成用紙」ボタンを押すと画面に構成用紙が表示されます。
試験では、紙の構成用紙が配布されるので、こちらの機能は使わずに済む場合もあるかもしれません。
問題にマーカーを引いたりメモを書き込んだりできます。
マーカーは紙で引くのと同じように1行ずつ引く仕様でした。
えんぴつツールもありますが、マウスで文字や図を書き込むのは難しそうです。
もちろん書き込んだものは消しゴムで消すことができます。
こちらは短答式試験の画面イメージ図です。※実際の画面とは異なります。
左上に問題エリア、左下に選択肢エリア、右側に解答内容一覧エリアがあります。
見直したい問題には「後で見直す」というチェックボタンを使うことで、回答を見返すときに便利です。
体験版で気になった点
さて先程操作については簡単だとお伝えしましたが、1点気になったところがありました。
問題画面に付箋のように書き込める「テキスト入力ツール」という機能がありますが、メモを掴んで移動させることが難しかったです。
メモの下の方にポインターを近づけると掴むところが出てくるので、そこをクリックしながら移動させることができます。
その掴む範囲が小さく掴みにくさを感じたので、気になった点として挙げさせていただきました。
感想まとめ
論文式試験・短答式試験のいずれも特別に操作画面がわかりにくい、操作が難しいと感じる箇所はありませんでした。
ただ論文式試験は長文入力のため、タイピング速度が試験の結果に影響すると感じました。
操作は簡単とお伝えしつつも、一度も操作せずに本番を迎えるのはリスクがあります。
必ず画面のどの位置にどのような機能があって、どう操作するのかは事前に把握しておく必要はあるでしょう。
体験版のインストールもボタンひとつでできますので、ぜひご自身で操作してみてください。
各画面の操作の説明は公式のマニュアルに丁寧に書かれていますので、一読すれば操作は理解できるはずです。
司法試験等CBTシステム(体験版)で確認すべきポイントは?
体験版を使う際は、複数ウィンドウの表示・切り替え、検索・メモ機能の使い勝手を体感し、本番での効率的な答案作成につなげることが重要です。
百聞は一見に如かず、以下の点について実際に操作して確認してみましょう。
- 画面レイアウトを把握する
- どこに何があるのか覚えておきましょう
- それぞれの機能をすべて触ってみる
- 機能数は限られているため1つずつ操作してみて感覚を掴みましょう
- 回答画面でタイピングしてみる
- 回答文を作成する感覚を掴むとよいでしょう
- 法文検索
- ブックマークをつけたり、検索機能を使ってみましょう
また現在、法務省ではシステムのフィードバックアンケートを実施しています。
気になった点はアンケートに回答して、受験者のみなさんが使いやすいシステムに改修してもらいましょう。
司法試験等CBTシステム(体験版)に関するアンケート
※アンケート回答期間:令和7年5月27日(火)から同年6月26日(木)まで
司法試験CBT化への具体的な対策と勉強法
司法試験のCBT化に伴い、多くの受験生や教育関係者の方が新たな準備に頭を悩ませていることと思います。
筆者はオンライン試験システムのマーケターという立場ですので、予備校運営者が発信している情報などを調査してまとめてみました。
新しい試験形式だからこそ求められるスキルや勉強法を理解し、しっかり準備を進めていきましょう。
速く正確なタイピングを身につける
CBT試験では、パソコンによる答案入力が求められるため、タイピング速度と正確さが大きな武器になります。手書きの速度差よりも、タイピング速度の差が成績に与える影響はさらに大きくなる可能性があります。
そのため、日頃からタイピング練習を行い、継続的にスピードと正確性を磨くことが大切です。
画面上での読解力と情報整理力を高める
紙の資料とは異なり、長文の事案や法令を画面で読み解くのは目の疲れもあり集中力が続きにくいものです。日常的にPCやタブレットで判例や文献を読む習慣をつけることが大切です。
また、画面のズームや配色を自分に合うように調整し、長時間でも疲れにくい環境を作る工夫もおすすめです。
効率的な時間配分をシミュレーションする
タイピング速度が向上すると、答案の構成や検討に割ける時間が増えますが、慣れないシステム操作で手間取ることも考えられます。
体験版を使って実際の試験時間でシミュレーションし、問題を読む時間、答案構成、入力にかかる時間を測定して、最適な時間配分を計画しましょう。
深い理解と論理的思考力を磨く
CBT化によって答案作成の量は増えることが予想されますが、単純な量だけで勝負する「物量作戦」は通用しにくくなるでしょう。
それ以上に、法的な根拠を深く理解し、的確に論理を展開できる力がこれまで以上に求められます。知識の定着とともに、多様な事案分析や論理構築の練習を重ね、思考のスピードと質を高めておくことが大切です。
予備校の最新教材や模擬試験を活用する
多くの予備校がCBTに対応した模擬試験や専用教材を提供し始めています。タイピング練習ツールやデジタル答案構成指導も充実しているため、自分の学習スタイルに合ったものを積極的に活用しましょう。
また、法務省からの最新情報も素早く反映されるため、信頼できる予備校を通じて最新の動向を掴むことができます。
情報収集とフィードバック参加で万全を期す
CBT試験は新しい制度のため、法務省のマニュアルやFAQは頻繁に更新されます。定期的に公式サイトや信頼ある情報源をチェックし、正しい情報を得ることが合格への近道です。
また、体験版の利用者アンケートなどフィードバックの機会があれば、積極的に参加し、より良い試験環境づくりに協力することも重要です。
参照記事
筆記試験をオンラインで実施するならオンライン試験システムWisdomBase
https://wisdombase.share-wis.com/
最後に当社のオンライン試験システムWisdomBaseについてご紹介させていただきます。
WisdomBaseは本格的なオンライン試験を実施できる試験システムです。
主な特長としては以下の通りです。
- 直感的な操作画面
- シンプルな管理画面を採用しており、ITに詳しくない職員でもすぐに使いこなせます。
- 強力な不正防止機能
- カメラ監視や本人確認機能、ブラウザ制限など、多層的な監視体制を構築。
- 柔軟なカスタマイズ
- 学科ごとの特徴や出題形式に合わせ、問題配信と採点の流れを自由に設定可能。
- サポート体制の充実
- 導入前の相談から運用後のトラブルシューティングまで、専任スタッフが迅速に対応。
- 多様な導入実績
- 大学・専門学校から企業研修まで、さまざまな規模と業種で安心して利用できる実績が豊富。
オンライン試験の利用にご関心がありましたら、ぜひお問い合わせください。
司法試験CBTの全体まとめ
本記事では、司法試験のCBT化のスケジュールや仕様、注意点、体験談を紹介しました。
司法試験のCBT導入による不安は誰しも少なからず感じていると思いますが、避けては通れない道です。
体験版を積極的に活用し、デジタルスキルを早めに磨くことで必ず乗り越えられます。
教育機関もCBT対応のサポート体制を充実させ、受験生一人ひとりが自信を持って試験に臨めるよう支援していきましょう。
前向きに準備を進め、新しい試験形態を味方につけて合格を目指してくださいね。