この記事では、EE-LMSのとは何か?その必要性やメリットやデメリットについて紹介します。
そもそもEE-LMSとは?
EE-LMSとは、 "Extended Enterprise Learning Management System" の略で、拡張エンタープライズ学習管理システムと訳します。
EE: Extended Enterprise とは?
「拡張エンタープライズ」とは、自社の活動に関わる、自社以外の法人や個人までを含んだ総体を表す言葉で、例えば販売代理店や、フランチャイジー、さまざまなパートナーや顧客自体など、事業に関わるさまざまなステークホルダーを含んだ概念です。
LMS: Learning Management System とは?
「学習管理システム」とは、いわゆるeラーニングを行うベースになるシステムのことで、受講者が学習コンテンツを受講することができるとともに、管理者が進捗や完了状況を確認できる環境を指します。
EE-LMSは上記のEEとLMSを結びつけた言葉で、一般的に想定される社内の従業員向けのLMS(人事部が主導となって提供することが多いため HR-LMR (Human Resource LMS) と呼ばれることもあります)と異なり、EE-LMSのメインとなるユーザーは自社の外にいる社外のユーザーです。
他社とのコラボレーションやオープンイノベーション、人材の流動性が高まる昨今、EE-LMSは多くの企業で導入が進んでいます。
EE-LMSのユースケースは?EE-LMSの必要性
EE-LMSを導入・活用するケースは以下の2つに大別されます。
- プロフェッショナル向け
- コーポレート向け
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
プロフェッショナル向けEE-LMSの活用ケース
ここで言うプロフェッショナルとは、事業として教育や育成活動を行う法人や個人を指します。具体的には、研修会社や、検定を販売する社団法人などが該当します。
これらの企業が事業の一貫として、研修をオンラインで提供したり、検定をCBT (Computer Based Test) やIBT (Internet Based Test) で提供する際に、EE-LMSを活用します。
広義には、学校や塾なども、プロとして生徒にレッスンを提供するという意味では、学校用LMSや塾用LMSもこのカテゴリーに分類されます。
また、所属している会員に対して、認定証を発行するような各種団体や学会もこのカテゴリーに入ります。
コーポレート向けEE-LMSの活用ケース
教えることが本業ではない、その他の多くの企業が導入するEE-LMSがこのカテゴリーに分類されます。
SaaSを提供している企業のカスタマーサクセス (CS) 部門が、顧客に製品の使い方を理解してもらうために提供する学習環境や(カスタマートレーニングや顧客教育と呼ばれる活動です)、販売代理店やセールスパートナーに製品知識や、販売方法のノウハウ、マーケティング戦略の内容などを理解してもらうための環境構築にEE-LMSが活用されます。
また、フランチャイズ展開を行っている企業であれば、各フランチャイジーに本社からの情報やノウハウを伝える場としてEE-LMSを活用することができます。
企業買収 (M&A) に伴うポスト・マージャー・インテグレーション (PMI) の一貫として、企業文化や事業知識、各種引き継ぎを学ぶための環境もこれに該当します。
また、昨今活発化している副業人材の活用に伴い、副業メンバーに自社のことを学んでもらうための、オンボーディング環境としてもEE-LMSは活用されています。
EE-LMSのメリットとは?
EE-LMSを導入するメリットとして以下の3つが挙げられます。
- 売上の向上が期待できる
- 業務改善が実現できる
- ブランド構築が容易になる
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
売上の向上が期待できる
EE-LMSを運用することで、製品のことを顧客や代理店により深く理解してもらい、製品活用度の向上によるアップセルや、代理店の販売促進を実現することができます。
また、EE-LMS上のコンテンツの改善や運用方法の改善は蓄積していくものですので、早い段階から環境を構築・改善することで、将来の顧客や新しい代理店、フランチャイジーにも展開していくことが可能です。
業務改善が実現できる
同じ内容のWeb会議を顧客ごと、代理店ごとに何度も行うことは非効率です。
EE-LMSで社外の人たちが、最新の情報を常に受けとれる環境を構築できれば、同じ話を何度も行う必要がなくなります。
効果的で効率の良い、オンボーディングや代理店教育を行える環境の整備にEE-LMSを活用することができます。
ブランド構築が容易になる
あなたの会社にとっては代理店であっても、営業を受ける側からすると、目にするのはあなたの製品やサービスであり、あなたの会社のブランドです。
5社の代理店やセールスパートナー、副業パートナーを活用している場合、5社それぞれがバラバラな情報を伝えていては、あなたの会社のブランドイメージもバラバラになってしまいます。
EE-LMSの環境を整備すれば、あなたの会社が大切にしていること、マーケティングや営業戦略を適切にパートナーに伝えられる場をもつことができます。
EE-LMSのデメリットは?
EE-LMSのデメリットとして以下を挙げることができます。
- 独自コンテンツを作る必要がある
- 豊富な機能と柔軟なカスタマイズができるシステムが必要になる
独自コンテンツを作る必要がある
EE-LMSは掲載するコンテンツの内容からして、従業員向けのLMS (HR-LMS) で見られるような汎用的なマナー講座や、Excelの操作方法を学ぶ講座が活用できるケースはまれです。そのため、自社オリジナルのコンテンツを作成する必要があります。
コンテンツを制作するための人員や時間を確保しなければいけませんが、最近ではスライド資料だけで簡単にコンテンツを作成できるオーサリングツールが普及していたり、簡易な動画編集は外部に発注しなくても自社で制作できる環境が整いつつあります。
また、EE-LMSは社外用とは言っても、まったく自社と関係のない個人に届けるようなテレビCMのようなクオリティのコンテンツが要求されることはまずありません。社内用の資料を整えたレベルのクオリティで十分ですので、あまり仰々しく考えずにコンテンツ化を進めるのがいいでしょう。
豊富な機能と柔軟なカスタマイズができるシステムが必要になる
従業員向けのLMS (HR-LMS) では、利用目的や利用するユーザー像が限定されます。そのため、必要となる機能についても、シンプルなもので対応することができます。
一方、EE-LMSの場合、利用者のIDとパスワードの運用1つとっても、社外のどのタイプのユーザーに、どのようなログイン手段を提供するかは、各社の利用シーンに応じて、さまざまな運用方法が想定されます。また、どの種類のユーザーに、どの範囲までのコンテンツを提供するかを適切に限定する機能も必要となり、各社それぞれの利用目的に応じた、柔軟なカスタマイズと、豊富な機能をもったシステムが必要になります。
まとめ
以上、EE-LMSとは何か、どのようなケースで活用するのか、またそのメリットとデメリットを紹介しました。
組織の垣根を超えた活動が広がりを見せる昨今、EE-LMSの必要性は益々高まりを見せています。
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