社内の従業員を対象とした「新入社員研修」や「管理者研修」、サービス利用者を対象とした「顧客教育」など、企業における研修や教育は、企業の成長のために大事な要素だと言えるでしょう。
またインターネットの普及により、eラーニングによる研修を導入する企業が増えている中で、LMS(学習管理システム)の需要が高まっています。
今回はLMSの概要や主な機能、受講者と管理者の視点から見たLMSのメリット、LMSの種類について解説します。
LMS(学習管理システム)とは
LMS(学習管理システム)は“Learning Management System” の略で、eラーニングに使用するコンテンツを管理するシステムです。後述しますが、進捗管理やオンライン試験など多くの機能が備わっており、社内外の学習をより効率良く進めることが可能です。
LMSは類語として「eラーニングシステム」や「研修管理システム」と呼ばれることもあります。
LMSを使う理由
さて「LMS = eラーニングを管理するシステム」ということはお分かりになったと思いますが、以下のような疑問を持たれた方もいるのではないでしょうか?
「YouTubeに動画を投稿して共有すればいいのでは?」
「LMSをわざわざ使う必要はあるの?」
なぜLMSが必要なのでしょうか?
例えば、学習用のコンテンツをYouTubeにアップロードしたり、自社のグループウェアなどで共有するとします。
コンテンツを共有するだけであれば、これらのツールで特に問題はないでしょう。
しかしYouTubeやグループウェアでは、「全員が動画を観たのか」「内容は理解できているのか」など、学習のフォローや管理機能は備えていません。
また受講者が複数あるコンテンツの中から、自分に必要なものを探す手間が発生したり、学習の進捗率がわからないなどの不便さがあります。
LMSを使うことによって、管理者は学習の進捗や成績を確認しながら新たなコンテンツを作成したり、差し替えることができます。受講者も自分の学習データを見て苦手な部分を集中的に学習したり、またオンライン試験で自分の実力を確かめることもできます。
このように、受講者側に一方的に学習コンテンツを配信するのではなく、管理者と受講者双方向でコミュニケーションが発生し学習の効果をより高めることが可能です。
LMSの機能
LMSにはどのような機能があるのでしょうか?代表的な機能を6つピックアップしました。
- コンテンツ作成・掲載機能
- コンテンツ配信・保管機能
- 試験・アンケート作成機能
- 進捗管理・成績管理機能
- コンテンツ販売機能
- アカウント認証機能
1. コンテンツ作成・掲載機能
動画やテキスト、PDF、音声などさまざまな形式のコンテンツを作成・掲載できます。またレポートなど課題の提出ができるファイルアップロード機能や、ライブ配信機能を備えたLMSもあります。
2. コンテンツ配信・保管機能
特定の受講者のみコンテンツを配信するなど、グループ分け機能や閲覧権限を設定する機能があります。また「Aコンテンツを受講した後に、Bコンテンツを受講できるようにする」というような、受講条件を設定することもできます。
コンテンツや試験結果はLMSに全て保管されます。データを一元管理できるため、運用にかかる負担が少なく済みます。
3. 試験・アンケート作成機能
様々な形式の問題作成、カンニング防止や自動採点など本格的なオンライン試験が実施できる機能や、簡易なクイズやアンケートが作成できる機能があります。
4. 進捗管理・成績管理機能
受講者は学習の進捗状況や、試験結果をリアルタイムで確認できます。
管理者は受講者の受講履歴やコンテンツの受講率などの閲覧や分析ができます。CSVやExcelファイルとして試験結果などを出力することもできます。
5. コンテンツ販売機能
LMSの中には決済機能が付いているシステムがあります。コンテンツの外部販売や、有料のオンライン試験には必須の機能です。また割引クーポン、アフィリエイトなど、販売キャンペーンに利用できる機能もあります。
6. アカウント認証機能
SSO(シングルサインオン)や、既存システムとの連携機能、Googleなどのソーシャルログイン機能など、柔軟なログインの仕組みを備えています。ひとつのID・パスワードでログインが可能になり、パスワードの使い回しによる情報漏えいの回避や、アカウント管理を簡素化します。
導入のメリット
LMSを導入することでどのようなメリットがあるのでしょうか?「受講者」と「管理者」のそれぞれの視点から解説します。
受講者のメリット
- 時間や場所を選ばず、PCやスマホなどさまざまなデバイスで学習ができる
- 学習の進捗状況が一目で分かり、学習計画が立てやすい
- 復習が必要な内容を繰り返し見返すことができる
- 試験結果がリアルタイムで確認できる
- レポートなど課題の提出や、必要な資料のダウンロードが簡単
- 最新の学習コンテンツをリアルタイムに受講できる
管理者のメリット
- 受講者情報やコンテンツ、試験結果など全てのデータを一元管理でき、研修や教育にかかる作業時間を削減できる
- コンテンツの追加やアップデート、受講者への一斉配信までが簡単
- 受講者の理解度に合わせて、必要なコンテンツを追加したり個別フォローができる
- 試験やアンケート結果が自動採点・集計できる
- 自社コンテンツを外部へ販売できる
LMSの種類
LMSは、HR-LMS (Human Resource LMS) とEE-LMS (Extended Enterprise LMS)の2種類に分類されます。学習の対象者を社内の従業員に絞っているのか、それとも顧客や販売代理店など社外のユーザーまで学習対象者を拡げているかの違いがあります。学習対象者の範囲が違うと、必要とする機能が変わります。
HR-LMS (Human Resource LMS)
社内の従業員向けに特化したLMSです。人事部が主導となって提供することが多いため HR-LMR (Human Resource LMS) と呼ばれています。
社内の従業員向けのLMSのため、決済機能や試験機能を備えていない場合があります。外部にコンテンツを販売する必要がなかったり、簡易な理解度チェックができれば良いということであれば特に問題はないでしょう。
EE-LMS (Extended Enterprise LMS)
EE-LMS (Extended Enterprise LMS)は、「拡張エンタープライズ学習管理システム」と訳します。
EE-LMSのメインとなるユーザーは社外のユーザーです。顧客に製品知識を理解してもらうための教育活動や、検定や資格など本格的なオンライン試験を実施する場合にEE-LMSは活用されます。
社内の従業員という単一の種類のユーザー向けに提供されるHR-LMSと異なり、さまざまなタイプのユーザーが利用する可能性があることから、EE-LMSはHR-LMSよりも複雑な機能が必要です。
EE-LMSについてもっと知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
EE-LMSが備えている機能を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
まとめ
以上、LMSの機能や受講者と管理者それぞれから見たLMS導入のメリット、LMSの種類について解説しました。
eラーニングを使ったことはあるけれども、LMSというシステムについては初めて知ったという方もいるかもしれません。
今後LMSの導入を検討する際には、学習の対象者やLMSを導入して実現したいことなどを整理し、HR-LMSとEE-LMSのどちらが適しているか考えてみてください。
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