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~知らないと恥ずかしい~ IT教育とICT教育の違い 【こっそり学べます】

IT教育とICT教育の違い

現在文部科学省は、IT教育やICT教育の実現を積極的に推進しています。教育現場では急速にIT化が進んでいるといわれていますが、そもそもIT教育とICT教育にはどのような違いがあるのでしょうか?

今回は、IT教育とICT教育の違いを中心に、それぞれの概要や問題点などを詳しく解説します。

そもそもITとICTの違いとは?

ITはInformation Technologyの略で、日本では「情報技術」と訳されます。コンピュータやネットワークに関する技術、ハードウェアやソフトウェア、アプリケーションなどの開発技術がITに該当します。

対してICTはInformation and Communication Technologyの略で、「情報通信技術」と訳されます。I(Information)とT(Technology)の間にC(Communication)が入ることからわかるように、ITにコミュニケーションの要素を含めたものを指し、一般的には「情報技術の使い方」を意味します。

それでは「IT教育」と「ICT教育」にはどのような違いがあるのか、詳しく解説していきます!

IT教育とは

IT教育とは、IT技術を教育に導入すること、つまり教育のIT化を意味するのが一般的です。

IT技術が発達し、あらゆる分野でITが取り入れられているなか、教育分野はまるでブラックボックスのようにIT化から取り残されてきました。学校といえば、数十名の生徒や学生を前に、先生が黒板やホワイトボードに文字を書き、生徒がノートに書き写すスタイルを目に浮かべる人が多いでしょう。その姿はITからはほど遠いものに感じるのではないでしょうか。

そんな教育現場にIT技術を取り入れ、効率化を進めることがIT教育の目的です。IT教育では、どのような施策が取られているのか具体的に見てみましょう。

具体的な施策

文部科学省では、全国の教育機関のIT化に向けて、以下のような取り組みを進めています。

  • 教育用コンピュータの導入
  • PC上の画面を映し出す「電子黒板」や「大型提示装置」の導入
  • プロジェクタに接続して教科書や資料を拡大して映し出す「実物投影機」の導入
  • 超高速インターネットや無線LANの整備
  • その他ワープロソフトなどの学習用ツール、学習用サーバ、公務用コンピュータなどの導入

しかし実際のところ、教育のIT化は思うように進んでいません。

例えば学習者用コンピュータについては、1台あたりの児童生徒数の目標値を3人としています。しかし令和2年3月現在のデータによると、全国平均は1台あたり4.9人となっています。

無線LANの整備は100%を目指しているものの、実際には48.9%と大きく下回っているのが現実です。

先進国の事例

それでは、日本以外の先進国におけるIT教育はどのように進んでいるのでしょうか。

先進各国の教育用コンピュータの整備率は、アメリカで3.1人/台(2008年時点)、デンマークで2.9人/1台(小学校〜中学2年相当・2011年時点)、オーストラリアで1.9人/1台(小学校相当・2014年時点)との調査結果があります。調査年が古いにも関わらず、2020年(令和2年)の日本(4.9人/台)よりもはるかに高い数値を示しています。

また一般家庭へのモバイル端末の普及が進んでいる先進国では、自分自身のデバイスを持ち込む「BYOD(Bring Your Own Device)」の取り組みが進んでいることも特徴です。アメリカでは2013年度には全学区のうち56%がBYODを実施し、デンマークに至っては、2011年の時点で中学校2年相当でほぼ100%に達したそうです。

先進各国では、柔軟な対応を取ることでIT教育を推進しているとわかります。

日本の教育IT化はなぜ進んでいないか?

日本で教育IT化が進んでいないのには、さまざまな要因が考えられますが、第一に予算の確保が難しいことが挙げられます。

ICT環境整備に使える予算としては、「教育のICT化に向けた環境整備5カ年計画(2018〜2022年度)」に基づいて、教育用コンピュータや無線LANの整備などに単年度で1,805億円が投じられています。

ただし地方財源措置は、地方自治体にとっては一般財源の一部です。使途は自治体に委ねられており、必ずしもIT環境整備に活用されるとは限りません。学校の老朽化などの優先すべきことがあれば、当然そちらに使用されます。

また予算をもらうには学校から要望を上げ、教育委員会を通し、地方団体財政担当局部に予算を要求するといった手間ヒマがかかります。

そもそも学校でICT教育を行う教師自身がIT技術に疎かったり、ICT教育について学ぶ時間がなかったりすることも問題です。ICT教育に関心が薄ければ、あえて予算計上することもないでしょう。仮にIT化予算を活用して環境が整備できたとしても、学内リーダー不在により十分に活用できず、あっという間にIT機器がホコリをかぶってしまうケースも少なくないのです。

ICT教育とは

予算を投じて導入されたIT機器を活用し、教育を実践することがICT教育です。いくらIT機器を導入し、IT環境を整えたとしても、それを教育に生かさなければICT教育とはいえません。ICTにおいてはIT機器を「使うこと」が目的ではなく、IT機器で「何をするか」が重要です。つまりICT教育は、教育のIT化の「その先」にあるものなのです。

ICT教育では、具体的にどのようなことを行うのかを紹介します。

具体的な施策

ICT教育の具体的な施策としては、以下のようなものがあります。

  • シミュレーションソフトを利用して、表や式、グラフを関連づけて考えさせる
  • 計算ドリルソフトなどを用いて、計算を確実に身に付けさせる
  • 収集した資料を加工・編集して提示用プレゼンテーションを作成する
  • 成績処理や評価の総括を行うために、表計算ソフトや専用ソフトなどを利用する

このようにICT教育は、児童生徒の学習効率を高めるだけではなく、教職員の業務効率を底上げする目的もあるのです。

先進国の事例

OECD(経済協力開発機構)では、PISA(Programme for International Student Assessment)と呼ばれる国際的な学習到達度調査を3年ごとに実施しています。2018年には調査内にて、「1週間のうち、教室の授業でデジタル機器を使う時間の国際比較」がなされました。

例えば国語に関しては、最高のデンマークは、「週に1時間以上」が68.7%、「利用しない」はわずか「1.7%」との結果でした。「利用しない」だけを見ると、スウェーデンが10.6%、アメリカが24.2%、と続きます。

対して日本は「週に1時間以上」と回答したのはわずか3%、「利用しない」がなんと83.0%にも達し、OECD加盟国中最下位となりました。ほかの教科もほぼ同様で、日本のデジタル機器使用率の低さが際立つ結果となっています。

文部科学省のGIGAスクール構想

「教育のICT化に向けた環境整備5カ年計画(2018〜2022年度)」と同時並行する形で、文部科学省は2019年12月、「GIGAスクール構想」を打ち出しました。

GIGAスクール構想とは、義務教育を受ける児童生徒を対象とし、1人1台の学習用PCと高速ネットワーク環境を抜本的に整備しようとする文部科学省が推進する事業です。IT環境というハード面を整えるたうえで、多様な子どもたちへの個別対応を実現し、より主体的・対話的な学びができるよう、授業を改善することを目的としています。

GIGAスクール構想では、デジタルならではの学びを実現させるために、ハード面だけではなくデジタル教科書やデジタルコンテンツの利用を促進するなど、ソフト面の充実も必須としています。さらに教育現場で日常的にICTが活用されるよう、ICT活用教育アドバイザーやICT支援員といった人材を登用することも提言しています。

つまりGIGAスクール構想は、教育現場のIT化が進んでいない現状を打破し、ICT教育に関するあらゆる課題の解決を目指す取り組みなのです。

ICT教育のメリット・デメリット

IT技術を活用するICT教育には、メリットもあればデメリットもあります。ここではICT教育のメリット・デメリットを紹介します。

ICT教育のメリット

まずはICT教育のメリットを4つ挙げてみました。

❶ 学習を効率化できる

ICT教育では、児童生徒に個別対応できるため、学習を効率化できることがメリットです。従来の板書が基本の一斉授業では、全員が同時に同じ内容を学習するので、一人ひとりの理解度に応じた対応をするのは困難でした。理解の早い生徒は退屈し、遅い子どもは内容についていけません。しかしICT教育では、個人の習熟進度に応じて最適な内容を提供できるため、効率的に学習を進められます。

❷ 教員の負担を軽減できる

長時間労働が問題になりがちな教員の負担を軽減できることも、ICT教育のメリットです。例えばPCやタブレットを授業で使用すると、これまで行っていたプリントの作成や印刷の手間やコストが不要になります。テストに使用すれば、採点や成績をつけるのも自動化を実現できます。事務作業を効率化することで、本来の授業の準備や教材研究に時間を割けるようになるのです。

❸ リモートでも学習を維持できる

ICT教育が実現すると、いざというときにリモートでも教育環境を維持できることもメリットです。昨今のコロナ禍において、学校教育もリモートにシフトせざるを得なくなりました。ICT教育を積極的に導入し、日常的に活用していれば、緊急事項宣言下でも子どもたちの学習が継続されます。

❹ ITリテラシーを高められる

2020年から小学校でプログラミングが必修化されたことが、大きな話題となりました。IT環境を整え、デジタルネイティブと呼ばれる子どもたちに早期からプログラミングを学ばせることは、ITリテラシーを高め、将来のIT人材不足を補う手だてとして大きく期待されています。またプログラミングのスキルそのものだけではなく、論理的思考力や創造性・問題解決能力の育成にも役立ちます。

ICT教育のデメリット

学習を効率化し、教員の負担を減らすなどメリットの多いICT教育ですが、以下のようなデメリットもあります。

導入にコストがかかる

ICT教育は、IT化が進んでいなければ実現しません。そしてIT化を進めるためには、教員が使用する電子黒板などのIT機器、児童生徒用のPCやタブレット、電子コンテンツの購入、ネットワーク環境の整備などにコストがかかります。ICT教育を続けるためには、機器の故障や経年劣化やPCのOSアップデートなど、継続的な費用がかかってしまうことがデメリットです。

現場の負担がかえって重くなる可能性がある

ICT教育を導入するには、教員の教育が不可欠で、準備にあたりどうしても負担が大きくなることもデメリットです。教員のすべてがIT機器に精通しているわけではなく、得意な人もいれば不得手な人もいます。慣れない機器の操作を覚え、場合によってはエラー対応をある程度こなさなければなりません。ICT教育の導入を心待ちにする教員がいる一方、かえって負担が増えると及び腰になる人もいるのです。

まとめ

IT教育は教育現場にIT機器を導入してIT環境を整えることを指し、ICT教育は導入されたIT機器を有効活用して教育を実践することを意味します。いくら学校にPCや電子黒板を導入してIT化を進めても、授業や業務に活かせなければICT教育は実現しません。

日本では文部科学省がGIGAスクール構想を進めるなど、教育現場のIT化とICT教育の実現に注力していますが、諸外国と比較して大きな遅れを取っているのが現実です。ICT教育を推進するには、官民の両方で導入のハードルとなるコストと現場の負担を軽減できる方法を模索していく必要があるでしょう。

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