IBT方式とはインターネットを通じて受験できる試験方式です。
一方でCBT方式という試験方式もあります。CBT方式はパソコンを使い受験する方式を指します。
「インターネットを通じて受験する」
「パソコンで受験する」
微妙に意味合いが違うため、具体的に何が違うの?と感じている方が多いはずです。
今回はIBT方式に焦点を当てつつ、混同しやすいCBT方式との違いについても図解や比較表を用いながら解説します。
CBT方式について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
- IBT方式とは?
- IBT方式とCBT方式との違い
- IBT方式のメリット
- IBT方式のデメリット
- 徹底比較!IBT方式とCBT方式どっちが良い?
- IBT方式の不正対策とは?
- IBT方式の活用事例
- IBT方式で試験を実施するならWisdomBase
- まとめ
IBT方式とは?
IBT方式とは「Internet Based Testing」の略語です。
職場や自宅などインターネットを通じて、パソコンやスマートフォンなどから受験する試験方式です。
インターネット環境のある場所であれば、どこでも受験が可能です。
また受験する時間も自由です。もちろん試験の運用上、開始時間を設けている場合もありますが、受験のルールや制限がなければ原則24時間いつでも受験できます。
IBT方式とCBT方式との違い
IBT方式と関連してよく耳にするCBT方式についての特徴を解説します。
CBT方式とは?
CBT方式とは「Computer Based Testing」の略語です。パソコンを使い受験する試験方式です。
テストセンターと呼ばれる受験会場に向かい、会場に準備されたパソコンで受験します。
IBT方式はインターネットが繋がっていれば受験する場所は自由ですが、CBT方式は指定された会場に足を運ぶ必要があります。
受験する前に身分証明書などを提示して本人確認が行われ、会場には監督官がいます。
IBT方式はCBT方式の一部なのか?
これまでの解説 で、「IBT方式はインターネット上で行うテストで、CBT方式はパソコンで行うテストであれば、IBT方式はCBT方式に包含されているのでは?」と思った方もいるかもしれません。
確かにその解釈も正しいのですが、必ずしもIBT方式であればCBT方式であるとは限りません。
IBT方式の中でも、パソコンでは受験できず、スマートフォンやタブレットでしか受験できない試験が実施されることもあるからです。
実際にTBT(Tablet Based Testing)と言われる、タブレットをベースとした試験官理も、欧米では定着しつつあります。
下の図は、IBT方式とCBT方式の関係を図式化したものです。
このように、IBT方式の中でもコンピューターで試験が行われるものはCBT方式とも呼べますが、パソコンデバイス以外のスマートフォンやタブレットで受験する形式のIBT方式はCBT方式とは呼べないので、注意が必要です。
IBT方式のメリット
IBT方式のメリットは、運営側と受験者双方にさまざまな恩恵がある点です。それぞの視点からメリットを解説します。
運営側のメリット
運営側のメリットとしては、まず試験会場の手配や運営スタッフの配置など、従来必要だった業務負担を大幅に削減できる点が挙げられます。紙の問題冊子や解答用紙の準備も不要になるため、資源コストや発送費用の削減にもつながります。
また、オンラインシステム上で受験者のデータを一括管理できるため、集計や分析が効率化し、今後の試験運営や改善に活かしやすくなるのも特徴です。
1. 試験運営の業務負担やコストを減らせる
試験運営の業務負担やコストを減らせる理由として、まず紙媒体の印刷や配送が不要になる点が大きいでしょう。さらに、試験会場の確保や運営スタッフの配置にかかる手間も大幅に削減されます。
オンライン管理により、問題の配布や解答の回収が自動化され、集計作業もスムーズに行えるため、人的リソースとコストの両面でメリットが得られます。
2.受験者数の増加が期待できる
IBT方式を導入すると、地理的・時間的な制約が緩和されるため、受験を諦めていた層へのアプローチが可能になります。遠方の受験者や仕事・家事で忙しい人でもオンラインで気軽に受験できるため、全体の受験者数が増加する期待が高まるのです。
結果として、試験の認知度向上や受験者層の拡大につながり、より多彩な人材を取り込めるメリットが生まれます。
3.問題の出題内容を直前まで修正できる
IBT方式では、問題の出題をオンラインシステムで一元管理するため、紙媒体のような印刷や配送の手間が不要です。その結果、試験開始直前まで問題文や選択肢の修正を行える柔軟性が得られます。
誤植や内容の更新が必要になった場合も即座に対応できるので、常に最新かつ正確な情報を提供しやすいのが大きな利点です。
受験者側のメリット
受験者側のメリットとしては、まず自宅や職場などの好都合な場所で受験できる点が挙げられます。会場へ移動する負担がなく、時間や交通費を節約できるのはもちろん、試験のスケジュールも柔軟に設定可能です。
さらに、試験後の結果確認もスピーディーに行えるため、合否の不安を長引かせずに済む点も魅力といえます。オンライン上で手続きを完結できる利便性も大きいでしょう。
1.会場までの時間やコストがかからない
IBT方式なら、受験会場へ足を運ぶ必要がなく、自宅や職場などインターネット環境さえあればどこでも受験可能です。交通費や宿泊費がかからないだけでなく、移動時間を大幅に節約できるため、忙しい社会人や遠方在住者には大きなメリットといえます。
2.受験時間が選べる
IBT方式では、あらかじめ設定された試験期間内であれば、受験者の都合に合わせて自由に試験開始時間を選択できます。これにより、仕事や家事、学業などで忙しい人でも、生活リズムに合ったベストなタイミングで受験が可能です。
3.受験後、すぐに結果が分かる
IBT方式では、試験が終了すると自動的に解答が送信され、短時間で結果が判明するシステムを導入しやすいのが特徴です。合否を長期間待つ必要がないため、次の学習や受験計画にスムーズに取りかかれます。モチベーションの維持に加え、時間を無駄にしない点も大きなメリットといえるでしょう。
IBT方式のデメリット
受験環境がデバイスやネット環境の影響を受ける
利用する試験システムが、インターネットの通信状況やデバイスのOSなどに依存するため、受験環境の公平性に課題が残ることです。
受験ページにログインできない、不正対策のためのカメラがパソコンについていないなどが挙げられます。
試験当日までに、試験システムが推奨する環境であるか確認することで対策ができます。
カンニングなどの不正行為のリスク
替え玉受験・カンニングなどの不正行為のリスクがあります。
受験者が受験場所を自由に選択できるため、カンニングしやすい環境を作ることができます。
しかしIBT方式の不正対策については、試験システム会社がさまざまな不正対策機能を開発し、対策しています。
IBT方式の具体的な不正対策については、記事の後半の「IBT方式の不正対策とは?」をご覧ください。
徹底比較!IBT方式とCBT方式どっちが良い?
ここからは「利便性」「公平性」「厳格性」の3つ観点から、IBT方式とCBT方式を比較します。
使いやすさや不正防止策についてなどを解説しますので、いずれかの試験方式を採用する際の参考となれば幸いです。
利便性
利便性に関しては、IBT方式の方が優れていると言えます。
テストセンターなどの受験会場への移動が必須となることが多いCBT方式に比べ、IBT方式の場合はインターネットさえあればいつでもどこでも、更にデバイスも制約がなく試験を実施できます。受験者側には特に便利さを感じてもらえるでしょう。
社内試験などの場合も、業務に支障がないタイミングでそれぞれ受けてもらえるので、実施側にとっても利便性は高いと言えます。
また、個人所有のデバイスでも試験を受けられるため、受験者数の制限がないこともIBT方式の便利なポイントでしょう。
公平性
公平性はCBT方式の方が比較的高いです。
IBT方式は場所やデバイスを自由に選択できる反面、受験環境による差異が出てしまう可能性があります。
例えば、こちらの動画はTOEFL IBT方式を自宅受験された方の感想動画なのですが、リスニング試験中に電話が鳴ったというエピソードを語られています。
このように、電話や来客などの不測の事態や、通信環境の悪さや受験デバイスのスペックの低さによっては、受験者が本来出せるべき実力を出しきれないという恐れがあります。
その点、試験会場で全員がほぼ同じ環境で試験を受けるCBT方式は公平性が高いと言えるでしょう。
厳格性
厳格性もCBT方式に軍配が上がる要素のひとつです。
IBT方式のデメリットで挙げていた理由と同様に、試験中のカンニングのような不正行為を完全に防止することは難しいからです。
CBT方式の場合はテスト会場で受験するため、試験時間中の監督官による会場内の監視が可能となり、厳格性を担保できます。
IBT方式の不正対策とは?
ここまでの解説から、IBT方式は替え玉受験やカンニングなどの不正行為に不安を感じる方がいるかもしれません。
しかし近年では、感染症やDXの推進などの社会情勢からIBT方式の需要が高まり、AIを利用した監視システムなど新しい不正対策機能が次々と開発されています。
IBT方式ではどのような不正対策ができるのか把握しておきましょう。
不正対策1:顔認証による本人確認
事前に登録した本人の写真と、受験直前の本人の顔を比較することで、本人確認を行うことができます。受験者の顔を照合することで、替え玉受験を防ぎます。
不正対策2:インカメラによる監視
受験中の様子をパソコンのインカメラからリアルタイムで監視したり、録画したりすることで、替え玉受験やカンニング行為を抑止します。
不審な動きがあれば警告を出したり、不正行為が疑われるときに証拠として提示したりできます。
不正対策3:回答時間の制限やタブ移動の禁止
1問ごとに回答時間を制限したり、別のタブへ移動することを禁止したりすることで、回答を調べるなどの行為を抑止します。
警告を出した際に、受験者が警告を無視するようであれば、強制的に試験を終了させることもできます。
不正対策4:問題のコピペ禁止やプール問題からの出題
問題のコピー&ペーストを禁止したり、あらかじめ問題をプールしておき受験者ごとに出題する問題を変えたりすることができます。問題の流出を防ぎます。
実際のところIBT方式だけでなく会場試験であったとしても、替え玉受験やカンニングは発生します。
不正行為は常に発生する可能性があると捉え、不正行為をさせない状況を上手に作り出すことが大切です。
以下の記事は不正行為の種類や不正行為をする人間の心理、具体的な不正対策について解説しています。
詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
IBT方式の活用事例
ユースケース別のIBT方式の活用事例をご紹介します。
社内試験
企業内で行われる昇進・昇格試験においても、IBT方式の導入が進んでいます。特に、全国に支社や営業所を持つ大企業の場合、全社員を一同に集めて試験を実施するのはコスト・時間ともに大きな負担となります。オンライン試験であれば、各拠点の社員が自席や指定された会議室等で一斉に、あるいは指定期間内に受験することが可能です。
▼ミサワホームグループ社員試験のオンライン化の事例
検定試験
検定試験のように、多くの受験者を全国規模で集めるケースでは、オンライン化の恩恵が大きくなります。会場手配が不要となり、試験問題の作成や採点プロセスもデジタル化できるため、運営コストを大幅に削減できます。また、合否結果がすぐに分かるため、受験者満足度の向上にもつながります。
▼株式会社SmartHR「人事労務マイスター検定」の事例
IBT方式で試験を実施するならWisdomBase
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まとめ
本記事では、IBT方式の特徴や、CBT方式との違い、活用事例についてなど解説しました。
ここまで解説したIBT方式とCBT方式の比較をまとめた表です。
どんな目的でテストを導入したいのか・試験において何を重視するのかを明確にした上で、ご参考いただければ幸いです。