紙ではなくパソコンで受験する試験は、会場で受験するタイプである「CBT」と自宅で受験するタイプ「IBT」の2つに大きく分かれます。
社内試験や検定試験を主催される方は、それぞれを比較し、どちらの方式がご自身のテストに合っているかを検討するようにしましょう。
[1] CBTとは
CBTとは、テストセンターと呼ばれる会場に設置されたPCで試験を受けたり、オフィスの試験会場で自分のPCを持ち込んで受験するような開催方式を指します。
試験の開始時間と終了時間が決まっていることがほとんどで、さまざまな試験で利用されている運用方法です。
もし、試験主催者の方がこの方式を選択した場合、以下のような事前準備タスクが発生します。
- 試験作成
- 試験日のスケジュールの調整
- 会場の予約・準備
- 受付や監視員の準備
- 設備・備品の準備
上記のようなタスクを一括して請け負ってくれるCBTの総合受託会社も存在します。
会場の貸し出し、試験監督の準備、コールセンターや採点、データ管理など、すべてを対応してくれる分、それなりのコストがかかります。
各工程をある程度自社で賄ったり、それぞれの工程ごとに別のベンダーに発注するケースも多く見られます。
特に検定試験のような外部向けの試験ではなく、社内の昇進試験などの場合、会場は自社のオフィスを手配し、試験監督も上司が担当したり、試験中の問い合わせはその場で試験監督が対応するケースなどがあります。
また、社内試験の場合、昇進・昇格試験のように人事評価や受験者の将来のキャリアに直結するような試験でない限りは、あまり工数を割かない形で試験を実施するケースが多いと言えます。
一般的に試験の厳密性がそこまで高く求められない場合は、これから述べるIBTの方がメリットが多いと言えます。
[2] IBTとは
IBTとは社用や個人PCで、自宅や自分の好きなところで受験できる試験の形式を指します。受験者を会場に集める必要性がないため、趣味検定や社内のスキルアップ試験など比較的厳密性が問われない試験で採用されることが多い形式です。
試験主催者側の視点に立つと、IBTはCBTと比べて、部分的に準備の工数を削減することができます。
下記は先ほど述べたCBTの実施で必要となる工程ですが、取り消し線のある項目は、IBTの場合、工程の一部または全部を削除することができます。
- 試験作成
- 試験日のスケジュールの調整
- 会場の予約・準備
- 受付や監視員の準備
- 設備・備品の準備
ただし、IBTならではの以下のような注意点もあります。
- 自宅試験のルールを策定する必要がある
- ルールの適用に適したシステムの選択が必要になる
- 試験中の受験者からの問い合わせのオペレーションの構築が必要になる
IBTはCBTと比べて、簡単に実施できる反面、不正対策を行う難易度が上がるため、ルールの作成や、そのルールの適用を実現できるシステムの選定が必要になります。
また、CBTと異なり、受験環境 (場所やパソコンの設定など)を限定できません。
受験中に予期せぬ事態が発生するケースも多く、受験者からの問い合わせ体制も十分に準備する必要があります。
[3] CBTとIBTの共通点と相違点
両社の運用上の共通点と相違点は以下のとおりです。
共通点
- 試験作成
- 受験者の試験申込方法の決定と運用
- 試験日のスケジュールの調整
- 結果の集計
- 試験結果の連絡
相違点
- 試験当日の運用方法
- 受験中の問い合わせの対応体制
- 不正対策の実施
上記の相違点の中で特に重要となる不正対策の実施についてより詳しくみていきたいと思います。
[4] CBTとIBTの不正対策
不正が行われてもまったく問題が生じないケースや、不正が行われたとしても全く問題が生じないように設計された試験の場合、CBTでもIBTでも不正対策についてまったく考慮することはありませんが、そのようなケースは非常に稀と言えます。
通常は、各試験に求められる厳密性の程度に応じた、適切な不正対策が実施されます。
CBTとIBTのそれぞれでよく見られる不正対策は以下の通りです。
CBTの不正対策
- 会場の受付で、手荷物チェックを行い、不正に利用できる可能性のある所持品を一時預かりする(スマートフォンやスマートウォッチなどの没収など)
- 予め該当の試験を実施することしかできないように会場設置のパソコンの機能を制限する
- 監視員を試験会場に待機させる
- 受験中の様子を監視カメラで録画する
- 会場に設置した端末ではなく、受験者が会場に持ち込んだ端末で会場で受験させる場合は、受付で端末の設定を確認し、受験に適した設定がなされているかを確認する
IBTの不正対策
- 受験端末のカメラ(パソコンやスマートフォンのインカメラ)で受験者の顔を監視する
- 替え玉受験の防止や複数人での受験の防止のため
- 実際にライブで人の目で監視する方法と、ライブでは監視せず事後的に撮影・録画データを確認する方法とがある
- 受験端末の画面を監視する
- パソコンの場合、デスクトップのスクリーンショットの撮影など
- スマートフォンの場合、受験用のアプリしか開けない設定など
- 受験中に他のページやアプリを開けない、または抑制する(警告表示など)ような技術的な措置を講じる
- 試験問題や解答のコピーペーストをできなくするような技術的な措置を講じる
- 受験開始前の本人確認や受験環境の確認を厳格化する
- 専任の監視員とライブでチャットなどを行って確認する方法と、人員は割かずに提出物などから判定する方法がある
- 本人確認の方法についてはeKYCなどがある
紙試験でもオンライン試験でも、完全に不正を防止することはできませんが、自社で行う試験に求められる厳密性の程度に合わせて、適切な不正防止対策を講じる必要があります。
一般的にCBTの方が、IBTよりも厳格な不正対策を実現できますが、受付の人員配置や監視員の配置、そしてなにより会場のコスト負担が必要になります。
まとめ
CBTとIBTのどちらの運用方法が適しているかは、試験の規模や求められる不正防止のレベル、そして予算を勘案して検討しましょう。
特に、不正防止対策をオンライン試験システム単体でどこまで対応できるかが、会場で行わないといけないか、または自宅受験でも問題ないかを考える判断材料となります。
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