EE-LMSマガジン

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オンライン試験の不正行為の3分類と各不正への対策方法

DXの推進や在宅勤務の増加などの影響で、紙で実施されていた定期試験や検定試験・社内の昇格・昇進試験などが、オンライン上で行う試験に切り替わっています。

試験のデジタル化による、自宅受験や主催者の工数削減というメリットのある陰で、紙試験では発生しなかった不正行為情報漏洩という新たな問題が発生しています。

今回はよくある不正行為・情報漏洩とその影響、対策方法をご紹介します。

オンライン試験の不正(カンニングや替え玉受験)の種類3選と対策

発生するタイミング別 - 不正行為の3分類

オンライン試験における不正行為はその発生タイミング別に大きく3つに分類することができます。

  1. 試験開始前
  2. 試験実施中
  3. 試験実施後

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

[1] 試験開始前の不正行為

試験の開始前の申し込み時点や、受験スタートの号令がかかる前に発生しうる不正として以下の2つがあります。

替え玉受験

替え玉受験とは、本来オンライン試験を受験すべき受験者以外の人物が、受験者本人になりすまして試験を受けることを指します。大学入試や資格試験など紙で行う試験でも見られる不正行為ですが、オンライン試験の場合、顔の確認などの本人確認が、会場で実施する場合に比べて容易ではないため、替え玉受験がより発生しやすいと言えます。

受験環境のハッキング

会場型の試験でも、本来試験会場に持ち込んではいけないカンニングにつながる機器やカンニングペーパーなどの持ち込みが発生する可能性がありますが、自宅で受験するタイプのオンライン試験の場合、機器の持ち込みはもちろんのこと、受験する部屋にカンニング用のポスターや付箋を張り出したり、答えを教えてくれる受験者以外の人物を待機させたりと、受験環境のハッキングが発生しやすいと言えます。

[2] 試験実施中の不正行為

試験の受験中に発生しうる不正行為は、みなさんも耳に馴染みのあるカンニングです。

オンライン試験の場合、以下のようなカンニング手法があります。

受験者自身が検索するタイプ

パソコンなどの端末からオンライン試験を受験する場合に、スマートフォンなど別の端末を持参しておき、検索する方法や、受験するパソコンの画面をマルチディスプレイで拡張させたり、WebブラウザにアクセスしてGoogleなどで検索しながらカンニングを行う方法があります。

協力者が情報提供するタイプ

カメラで監視するタイプのオンライン試験の場合でも、協力者を死角に配置したり、協力者と通信できる別の端末を設置するなどして、答えを教えたり、協力して問題を解く不正行為が発生し得ます。
また、PCの遠隔操作を協力者に行ってもらい、受験者は受験しているふりだけをする、という方法もあります。この場合は、カンニングではなく、[1]の替え玉受験と呼べるでしょう。

[3] 試験実施後の不正行為

試験実施後に発生し得る不正行為の代表格は試験問題や解答の情報漏洩です。

2022年に発生した、大学入学共通テストの試験問題の流出など、オンライン試験以外でも発生する可能性がある不正行為です。

試験問題の流出は試験実施後だけでなく、試験実施前の問題データの漏洩や試験実施中のリアルタイムでの漏洩も存在します。

オンライン試験では、受験ページでの問題文のコピー・ペーストや印刷、問題文が表示されている画面のスクリーンショット取得やカメラ撮影などで、問題情報の漏洩が発生し得ます。

オンライン試験の不正対策

組織犯罪の分野では「不正のトライアングル」という理論が提唱されています。

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不正は、「動機」「機会」「正当化」の3要因が揃うと発生しやすくなるという理論で、

  • 不正を行う動機を削ぐ
  • 不正ができないように不正発生のチャンスを減らす
  • 不正を正当化させない

ことが不正抑止になると一般的に言われています。

オンライン試験の不正対策の場合、「機会」に着目して技術的な対策を講じることが多く、具体的な方法を以下に紹介します。

替え玉受験対策

替え玉受験の対策としては、申し込み時点での本人確認書類の提出や、試験受験前のインカメラ撮影による写真撮影、eKYCなどの方法があります。

目視で本人確認を行うか、AIなどで自動化して確認するのかは、試験の運用体制や監視の厳格性のレベル、予算に応じて決定します。

カンニング対策

試験受験中のカンニングの対策としては、さまざまな手法があります。

受験中にカメラ監視を実施したり、受験できる環境を制限(特定のアプリから受験するタイプやWebブラウザから受験する場合でも他のタブに移動できなくするタイプなどがあります)する方法があります。

また、厳密性が求められる試験では、実際にライブで試験監視員が受験者の顔や環境を監視するオンラインプロクタリングと呼ばれる手法も存在します。

情報漏洩対策

試験問題の流出対策としては、試験受験ページのコピー・ペースト、印刷操作の禁止ができるシステムを利用することが一般的です。

また、実際に出題される問題よりも多くの設問を準備した問題プールを準備し、受験生それぞれに出題される問題を変更する方法も情報漏洩対策と言えます。
この方法は、情報漏洩対策としては有効ですが、問題プールを準備するための問題作成コストの増加や、出題される問題に応じて、受験者が不利にならないように問題の「等化」と呼ばれる処理の実施が必要になるなど、コストとリスクを比較して検討する必要があります。

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不正を無効化するための試験の再構築

あらゆる分野において不正対策はある種「いたちごっこ」の側面があります。

オンライン試験も同じく、どれほど対策を実施しても、不正をゼロにすることは難しいため、不正発生のリスクと、必要なコストやリソースとを比較して、どこかで妥協点を見つける必要があります。

また、不正は発生し得るもの、という前提に立って試験自体を再構築するという方法もあります。

先に上げた問題プールからのランダム出題も、問題は流出するものという前提に立ってなされる施策の1つと言えます。

その他の方法としては、「持ち込み可」の会場型試験のように、知識だけを問うのではなく、どうすれば必要な情報を集められるかの能力を問うような試験内容にしたり、就職活動などのグループディスカッションで見られるような、そもそも他の人と相談しながら問題に取り組む様子を評価するような試験の実施などがあります。

もちろんこれらの方法は、今まで紙で行っていた試験をデジタル化する、という範疇を超えた変更が必要なため、これから新たに試験を構築する方や、既存試験の大改革に取り組める立場の方にしか有効な手立てとは言えません。

とはいえ、さまざまなものがデジタル化する中、試験のデジタル化の波を止めることはできません。これからの未来の試験が、どのような形になるかを考えて、最適な不正対策施策を検討するようにしましょう。

WisdomBaseでできる不正対策

WisdomBaseでは、これまで述べた不正行為や情報漏洩を防ぐ技術的な機能が充実したオンラインテストシステムです。

監視機能としてインカメラの監視、デスクトップ監視が可能で、不正防止にも優れたオンライン試験システムです。さらに、受験回数制限の設定、問題の印刷防止機能や試験中に他のアプリへの移動を禁止する機能など、多彩な不正対策が充実しています。

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