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社内検定認定制度とは?認定のメリットや構築ステップや導入事例などを解説

今回は、厚生労働省が認定する「社内検定認定制度」について、本制度の概要や、認定を受けるメリット、構築のステップ、導入事例などをご紹介します。
※本記事の記載内容は、2023年9月現在の法令・情報等に基づいています。

社内検定認定制度とは

社内検定認定制度とは、企業や団体に属している従業員を対象とした「社内検定」のうち、一定の基準をクリアしており、技能振興上奨励すべきであると認めたものを厚生労働大臣が認定する制度です。
認定を受けるメリットとしては、従業員のスキルの向上やモチベーションアップ、ブランド価値の向上、顧客へのPRなどがあります。

社内検定認定制度の認定を受けるためには、一定の基準をクリアしなければなりません。
客観的・公正に検定を実施するために評価方法や運営体制を構築する必要があります。

技能検定との違い

労働者の職業能力を検定する仕組みとしては、国家検定である「技能検定」があります。
技能検定には、建設、金属加工、電子機器製造、ファイナンシャルプランニングなど、全131職種(2023年4月1日時点)の試験があり、合格者は「技能士」と名乗ることができます。

社内検定は、技能検定が対象としていない技能や、企業特有の技能を従業員を対象として実施する検定制度です。
社内検定自体は自主的に実施できるものですが、認定を受けるためには技能検定と競合してはいけないなどの規定があります。

社内検定の構築や認定を受けるメリット

社内検定を構築したり、認定を受けたりすることで、企業や団体はどのようなメリットを得られるのでしょうか?
メリットや具体例を以下の表にまとめました。

メリット 詳細 具体例
技術の見える化、標準化 社内検定を構築する過程で、職務に必要な技能・知識が整理され明確になる。 ・どの店舗でも同じ品質の商品を提供できる
・暗黙知の技能が明文化できる
従業員のモチベーションアップ キャリア形成の指針や処遇決定の基準とすることで、従業員のモチベーションとなる。 ・社内検定合格を目標とすることでスキルの獲得を促進する
・検定に合格すれば昇給できる
知識や技能、技術の向上 社内検定を通じて従業員の能力開発が促進される ・原則原理を理解でき、生産性がアップした
若手従業員の定着、人材確保 目指すべき人材像を明らかにすることで、従業員の定着を高めることができる。
人材確保のためのアピールとして活用できる。
・人材育成や社内研修制度の1つとして、採用活動時のアピールポイントなった
業界内での地位向上、差異化 国の認定を受けた社内検定として、企業の社会的評価や信頼感につながる。 ・品質の信頼性をアピールできる
・認定を受けたことを顧客にPRすることで売上アップにつなげることができる
企業ブランドの向上 認定を受けた企業・団体は、ロゴマークをパンフレットや合格者の名刺等に使用できる。 ・名刺にロゴマークを載せることで、顧客の安心感や信頼感の向上やブランド力の強化につながる

社内検定の構築ステップ・認定基準

認定を受けるためには、社内検定を構築するためのステップや認定基準を理解しておく必要があります。
社内検定認定制度の趣旨の理解や、検定で測ろうとする技能の概要整理、受験者数の試算、試験問題の作成、運用方法など、社内検定の構築プロセスの全体像を掴んでおきましょう。

社内検定の構築ステップ

認定申請までに必要なステップは4つです。

  1. 全体像の整理と枠組みの作成
  2. 検定試験の作成
  3. 試行試験の実施
  4. 申請の準備

1. 全体像の整理と枠組みの作成

社内検定の基盤となる最も重要なステップです。
まずは、社内検定の対象とする技能者像を明確化し、技能レベルや階層、必要経験年数を整理します。
「職種」を単位として、「仕事」「作業」「技能」「知識」を構造的に洗い出しましょう。

また、技能検定や他の法令に基づく検定試験と競合になっていないか、毎年1回以上継続的に社内試験を実施することが可能かなど確認します。

次に職務分析により、検定の対象とする職種について、職種で必要とされる「技能」と「知識」の階層を整理します。
各等級で求める「技能」と「知識」を元に、実技試験・学科試験の試験科目や出題範囲など試験基準を作成します。
求められる技能や知識が、等級ごとの技能者像と整合性がとれるようにしましょう。

2.検定試験の作成

認定を受けるためには、 「実技試験」と「学科試験」を行う必要があります。
実技試験では、製作等作業試験、またはロールプレイ等の実地試験を実施するための問題を作成します。
受験者の技能を的確に評価できる内容でなければなりません。

学科試験では、知識のレベルと設問の難易度に矛盾がなく、各等級に合った出題内容であり、出題範囲に偏りがないように問題を作成します。
「1. 全体像の整理と枠組みの作成」で作成した試験基準と矛盾のないようにしましょう。

また「社内検定の実施規程」も作成します。
認定後も社内検定が規程に従って適切に行われるように、必要な事項を網羅的に定めます。

3. 試行試験の実施

試行試験は、設計した社内検定が適正に実施できるかどうかを確認するために行います。
実際に試験を行うことで、想定外のことや改善点が見つかります。
また受験者の職業能力を適切に評価できたかを分析し、「試行試験結果報告書」を作成します。
報告書は、客観的な分析や評価であるか確認しましょう。
試行試験の結果が、試行試験実施前に想定したものと矛盾がないことや、矛盾がある場合は必要な改善を行います。

4.申請準備

社内検定の認定申請に向けて、書類を作成します。
各書類に共通して、社内検定の名称や等級が正しく記載されているか確認しましょう。

認定基準

社内検定の認定を受けるためには、下記の認定基準をクリアする必要があります。

認定基準 詳細
非営利であること 受験料は原則無料など
経理的・技術的基礎の保有 検定運用に関わる経理について、監査体制を整えること
試験運営や問題作成に関するノウハウがあること
適切な運営体制の確立 社内検定を公正に運用できる体制を構築すること
客観的・公正な基準に基づく実施 2等級以上の複数の等級設定が必要であるなど
技能振興上の適格性 合格者に対して、等級の昇格を考慮対象とするなどが求められる
職業能力に対する社会的評価の向上 合格者に対して、昇給を考慮要素とするなどが求められる
技能検定に関する補完性 技能検定とは異なる、企業特有の技能を対象とすること
学科試験、実技試験の実施 学科試験と実技試験の両方を行うこと
継続的な実施 毎年1年以上実施すること
適切な実施計画の策定 適正かつ確実に社内検定が実施されるように、実施計画を策定すること
合格者の称号の適切性 検定の対象職種などに合わせて、適切な称号にすること
実施者の適格性 社内検定を実施するにふさわしい者であること

認定基準や検定構築に関する詳細は、厚生労働省が公開している「社内検定 構築マニュアル」をご覧ください。

【参考資料】
https://www.mhlw.go.jp/content/11806001/000507370.pdf

社内検定の認定を受けている企業

社内検定の認定を受けている企業を紹介いたします。

  • 製造系企業
    • トヨタ自動車販売店協会
    • 株式会社デンソー
    • ヤンマーアグリ株式会社
  • サービス系企業
    • イオン株式会社
    • 株式会社コーセー
    • 株式会社伊藤園
  • 中小企業・業界団体
    • 今治タオル工業組合
    • アメニティネットワーク技能検定協会
    • 日本ロックセキュリティ協同組合

例えば、トヨタ自動車販売店協会は「トヨタ営業スタッフ技能検定」を運用しています。
顧客に最適な商品を勧める提案力の養成を目的とした検定です。
営業スタッフのモチベーション向上や、後輩指導のための仕組みとして活用されています。

事例の詳細については以下の「認定社内検定 活用事例集」をご覧ください。

【参考資料】
https://www.mhlw.go.jp/content/11806001/1031_jirei.pdf

まとめ

社内検定認定制度の概要やメリット、構築ステップや認定基準、認定企業の事例を紹介しました。
厚生労働省から認定を受けることで、ブランド力の向上や、顧客へのPR、従業員のモチベーションを高めるなどのメリットがあることが分かりました。

本記事が社内検定の立ち上げや認定取得を検討中の方のお役に立てれば幸いです!

【最後に】社内試験や検定試験のオンライン化に関心のある方へ

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