資格の更新講習をオンラインで実施する方法|団体事務局の手順と要件

資格の更新講習を会場で開くたびに、会場の手配や講師の移動、地方から来る受講者の負担が重なっていきます。オンラインに切り替えたくても、「本当に本人が最後まで受けたと言えるのか」「パソコンに不慣れな有資格者がついてこられるか」が気になり、踏み切れない事務局も多いはずです。
本記事では、更新講習をオンラインで実施している団体の例をもとに、配信形式の選び方、事前に決めておく要件、実施の手順と、移行時につまずきやすい点を解説します。
【この記事の概要】
- 消防設備点検資格者の再講習や運転免許の更新時講習など、動画視聴と顔認証を組み合わせて更新講習をオンラインで実施する例が広がっている
- オンライン化の前に、修了の条件、本人確認の水準、受講期間、受講料の集め方、修了証の出し方の5つを決めておく
- RCCMのように更新講習とCPD単位の両方を更新の条件にする資格もあり、講習の受講記録を出力できる形で残しておく
目次
資格の更新講習をオンラインで実施する団体が増えている

資格の更新講習は、動画の視聴と顔認証による本人確認を組み合わせれば、オンラインで実施できます。国家資格や公的な講習でも、すでにこの形で運用されています。代表的な3つの例を、受講の形式と本人確認、修了の条件で比べます(各実施機関の公式ページで2026年10月16日に確認)。
| 講習 | 実施機関 | 受講の形式 | 本人確認 | 修了の条件 |
|---|---|---|---|---|
| 消防設備点検資格者などの再講習 | 一般財団法人日本消防設備安全センター | 配送されたテキストを見ながら動画を視聴 | 顔認証。受講中も定期的に実施 | 受講期間内にカリキュラムをすべて修了する。修了しないと資格を更新できない |
| 発電設備専門技術者の更新講習 | 一般社団法人日本内燃力発電設備協会 | 約160分(自家用)・約140分(可搬形)の動画を視聴 | 申請時の写真とWebカメラの顔を照合。視聴中も一定時間ごとに自動で認証 | 視聴を完了する。認証できない回が続くと完了にならない場合がある |
| 運転免許の更新時講習(優良・一般) | 警視庁ほか都道府県警察 | マイナポータルから動画を受講(優良30分・一般60分) | 受講中に顔を自動で撮影し、免許証の顔写真と照合 | 講習を受け終える。2025年3月24日に開始し、マイナ免許証を持つ70歳未満が対象 |
3つに共通するのは、受講者が自宅で都合のよい時間に動画を見られること、受講中もくり返し本人を確認していること、決められた内容をすべて受け終えた人だけを修了とすることです(出典:日本消防設備安全センター「オンライン再講習」、日本内燃力発電設備協会「発電設備専門技術者オンライン更新講習について」、警視庁「オンライン更新時講習」。いずれも2026年10月16日確認)。
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更新講習をオンライン化する3つの形式

更新講習のオンライン化には、録画した動画を配信するオンデマンド型、決まった日時に中継するライブ配信型、会場とオンラインを併用する型の3つがあります。受講者の多い更新講習では、日時に縛られないオンデマンド型が中心です。
| 形式 | 向いている講習 | 受講者の負担 | 事務局の負担 | 受講したことの確かめ方 |
|---|---|---|---|---|
| オンデマンド型 | 毎期ほぼ同じ内容をくり返す講習 | 期間内の好きな時間に受けられる | 収録は一度で済み、期をまたいで使い回せる | 視聴の完了、早送りの制限、確認テスト |
| ライブ配信型 | 法改正の解説など、質疑応答が必要な講習 | 決まった日時に参加する必要がある | 開催ごとに配信の運営が要る | 出席の記録、画面越しの点呼 |
| 会場との併用型 | 実技を含む講習、オンラインに不慣れな受講者が多い講習 | 受講者が受け方を選べる | 会場とオンラインの両方の記録を管理する | 会場は出席の記録、オンラインは視聴の記録 |
最初からすべてをオンラインに移す必要はありません。座学の部分をオンデマンド型にし、実技や質疑応答だけを会場やライブ配信に残すと、受講者の移動を減らしながら講習の質を保てます。
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オンライン化の前に決めておく5つの要件

オンラインの更新講習を始める前に、事務局が決めておく要件は5つです。ここが曖昧なまま始めると、受講者からの問い合わせが増え、修了を認めるかどうかの判断も担当者ごとにぶれてしまいます。
| 要件 | 決めること | 判断のよりどころ |
|---|---|---|
| 修了の条件 | 全動画の視聴か、確認テストの合格か、その両方か | 会場の講習で求めていた修了の基準 |
| 本人確認の水準 | ログインだけか、顔認証まで行うか | 資格の重さと、所管官庁や制度の規程 |
| 受講期間と締め切り | 受講できる期間と、期間内に修了しない人の扱い | 資格の有効期限と更新手続きの日程 |
| 受講料の集め方 | 支払い方法と、受講を始められるタイミング | 受講者の年齢層や、カードを持たない人の割合 |
| 修了証の出し方 | 郵送か、オンラインでの発行か | 修了証の使われ方(勤務先への提出など) |
修了の条件:視聴の完了と確認テストを組み合わせる
修了の条件は、全動画の視聴完了と確認テストの合格を組み合わせるのが確実です。動画の視聴だけを条件にすると、再生したまま画面の前を離れる受講者も修了になります。章ごとに短いテストを置き、合格しないと次の動画に進めないようにすれば、内容を理解したことまで確かめられます。
本人確認の水準:資格の重さに合わせて選ぶ
本人確認は、資格の重さに合わせて水準を選びます。法令にもとづく資格や、修了しないと資格を更新できない講習では、上の3つの例のように受講中も顔認証をくり返す方法がとられています。会員向けの自主的な講習なら、本人のIDでのログインと早送りの制限から始めてもかまいません。国家資格の講習を受託している場合は、所管官庁の基準や指定の条件にオンライン受講の扱いが定められていないか、先に確認します。
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受講期間と締め切り:有効期限から逆算する
受講期間は、資格の有効期限と更新手続きの日程から逆算して決めます。日本消防設備安全センターは、受講期間内にカリキュラムをすべて修了しなければ資格を更新できないと明記しています(出典:前掲の日本消防設備安全センター「オンライン再講習」)。このように示しておくと、受講者が後回しにしにくくなります。期間を過ぎた人を救済するかどうかも、事前に決めておきます。
受講料の集め方:支払いと受講開始をつなげる
受講料は、支払いが済んだらそのまま受講を始められる仕組みにすると、事務局の手間が大きく減ります。振込を確かめてから受講用のURLを1人ずつ送る運用では、更新の時期に事務局の手がふさがります。クレジットカードを持たない受講者のために、コンビニ決済や銀行振込も用意しておきます。
修了証の出し方:オンラインでの発行を基本にする
修了証は、修了と同時にオンラインで発行すると、郵送の手間と受講者の待ち時間がなくなります。日本消防設備安全センターも、受講修了証明書をマイページから発行できるようにしています(出典:前掲の日本消防設備安全センター「オンライン再講習」)。勤務先への提出に使われる修了証なら、修了日や講習名、修了番号を記載し、紙に印刷しても使える形式にしておきます。
更新講習をオンラインで実施する手順

更新講習のオンライン化は、要件を決め、教材を作り、システムを設定してから受講者に案内する、という順で進めます。最初の期は受講者からの問い合わせが多くなるため、受講期間が始まってからの対応まで手順に含めておきます。
| ステップ | 事務局がやること | このステップで決めておくこと |
|---|---|---|
| 1. 要件を決める | 前の章の5つの要件を決め、理事会などで承認を得る | 会場の講習を残すかどうか |
| 2. 教材を作る | 講義を収録し、章ごとの確認テストを作る | 動画1本の長さ、テストの合格基準 |
| 3. システムを設定する | 講習の登録、受講できる人の範囲、決済、修了の条件、修了証を設定する | 有資格者だけが受講できる設定にするか |
| 4. 受講者に案内する | 更新の対象者に、受講方法と期間、問い合わせ先を知らせる | 案内の手段(郵送・メール・会報) |
| 5. 受講期間中に支援する | 受講が進まない人へ連絡し、操作の問い合わせに答える | 督促を送る時期と回数 |
| 6. 修了を確認して記録を残す | 修了者を確認し、受講記録を出力して名簿と突き合わせる | 記録の保存先と保存期間 |
収録した動画は次の期以降も使えるため、2期目からはステップ2の多くを省けます。法改正などで変わった部分だけを撮り直せば済むよう、テーマごとに動画を分けて収録しておくと便利です。
資格によっては更新の条件にCPD(継続教育)の単位が含まれる

資格によっては、更新講習の受講に加えて、CPD(継続教育)の単位の取得も更新の条件になります。CPDは、資格を取った後も学習を続け、講習会や自習で学んだ量を単位として記録していく制度で、建設・技術系の団体で広く運用されています。
一般社団法人建設コンサルタンツ協会が認定するRCCM資格では、2025年4月1日から次の2つが更新登録の条件です(出典:一般社団法人建設コンサルタンツ協会「CPDガイドライン 第11版」(2026年4月))。
| 更新の条件 | 内容 |
|---|---|
| 登録更新講習 | Webによる講習と自主学習を受講する |
| CPD単位 | 登録申請月の前月からさかのぼって4年間で200単位以上を取得する |
同じガイドラインでは、公益社団法人土木学会が創設した資格制度でも、5年間で250単位のCPDが更新に必須とされています(出典:同上)。
こうした資格を扱う団体では、自団体の講習を誰がいつ受けたかの記録が、そのまま単位を登録するときの元データになります。たとえば建築士会CPD制度では、認定講習の主催者が開催後に出席者リストをExcelファイルで提出する手順になっています(出典:公益社団法人日本建築士会連合会「建築士会CPD制度 プロバイダー用ガイドライン」Ver.12(2026年4月))。オンラインの講習でも、受講者ごとの修了状況を表計算ソフトで扱える形で出力できるようにしておくと、単位の登録や名簿との突き合わせが滞りません。
更新講習のオンライン化で事務局がつまずきやすい点

更新講習のオンライン化でつまずきやすいのは、システムの設定よりも、受講者の側で起きる戸惑いへの対応です。長年会場で講習を受けてきた有資格者にとって、受け方が変わること自体が不安の種になります。
パソコン操作に不慣れな有資格者への案内
年配の有資格者が多い団体ほど、「オンラインでは受けられない」という声を心配しがちです。WisdomBaseを導入いただいている公益社団法人日本フィットネス協会の例を紹介します。同協会は、資格更新に必要な単位認定の講座をeラーニングで提供しています。導入にあたっては、中高年以上の会員が多いため、eラーニングが受け入れられるかを気にしていたそうです。実際には想定より多くの申込みがあり、今ではeラーニングの受講者が実地講習会の参加者を上回っています。スマートフォンからでも視聴できることが大きいのではないかと、同協会は話しています(出典:導入事例:公益社団法人日本フィットネス協会)。
受講の手順は、画面の写真を入れた1枚の案内にまとめ、案内状に同封しておくと、問い合わせが減ります。
締め切り直前に受講と問い合わせが集中する
受講期間の終わりが近づくと、受講を始める人と問い合わせが一気に増えます。期間の半ばで受講が進んでいない人に連絡しておくと、締め切り直前の集中をならせます。受講状況を管理画面で確認できるようにし、未受講者への連絡を自動で送れるようにしておくと、事務局が1人ずつ電話をかける必要はなくなります。
会場での受講を望む人の受け皿
オンラインへの移行期には、会場で受けたいという人が一定数残ります。初年度は会場の講習を小規模に残し、どちらでも修了できるようにしておくと、受講者の不満を抑えながら移行できます。その場合も、会場の出席記録とオンラインの受講記録を同じ名簿で照合できるよう、記録の項目をそろえておきます。
資格の更新講習のオンライン化に関するよくある質問

更新講習のオンライン化を検討する事務局から寄せられることの多い質問をまとめました。実施してよいかどうか、受講記録の保存、スマートフォンでの受講について、それぞれ短く回答します。
資格の更新講習はオンラインで実施してもよいですか?
民間資格の更新講習なら、資格を認定する団体の規程で実施方法を決められるため、規程を改めればオンラインで実施できます。国の指定を受けて行う講習や、法令で内容が定められた講習は、所管官庁の基準にオンライン受講の扱いが定められている場合があります。その場合は、基準を確かめたうえで、必要に応じて所管官庁に相談してから始めます。
オンラインの更新講習の受講記録はどのくらい保存すればよいですか?
保存期間は、資格の制度や団体の規程に従います。規程に定めがない場合でも、少なくとも次の更新までは保存しておくと、受講者から修了の証明を求められたときに対応できます。CPD単位の登録に使う場合は、単位を集計する期間の分も残しておきます。RCCMの場合、集計期間は登録申請月の前月からさかのぼって4年間です(出典:一般社団法人建設コンサルタンツ協会「CPDガイドライン 第11版」(2026年4月))。
スマートフォンだけで更新講習を受講できますか?
受講に使うシステムがスマートフォンに対応していれば、受講できます。顔認証を行う講習では、カメラ付きの端末が必要です。動画の視聴と確認テストをスマートフォンで完結できると、パソコンを持たない有資格者も受講しやすくなります。
資格の更新講習のオンライン化ならWisdomBase
WisdomBase(ウィズダムベース)は、シェアウィズが開発・提供するeラーニングシステムです。更新講習の申込み、受講料の決済、講習の配信、修了証の発行、受講記録の出力までをオンラインで行えます。
受講料はクレジットカード・コンビニ決済・銀行振込で集められ、クレジットカードなら支払いが済んだその場で受講を始められます。決済会社との契約や審査は不要です。講習は有資格者のグループだけが受講できるように設定でき、一般向けの講座と同じサイトで分けて提供できます。
動画のスキップを防ぐ設定や、すべての動画を見ないと確認テストに進めない設定で、修了の条件を守れます。修了証は、動画の視聴完了やテストの合格を条件に自動で発行されます。受講が進まない人には、「完了率が半分以下」「受講開始から一定の日数がたった」といった条件で、受講を促すメールが自動で届きます。受講状況やテスト結果はCSV・Excelファイルで出力でき、会場の講習会も「対面コース」として予約から出席の記録まで管理できます。受講中の顔認証や離席の検知が必要な講習には、監視サービス「ProctorWis Connect」を組み合わせられます。
前の章で紹介した日本フィットネス協会では、入金を確かめてから講座のURLを送っていた運用から切り替え、支払いに関わる作業が楽になりました。手作業でメール送付していた証明書も、受講に合わせて自動で発行できるようになり、発行の手間が減りました(出典:導入事例:公益社団法人日本フィットネス協会)。
WisdomBaseの詳しい機能や導入事例をまとめた資料を無料でご用意しています。「自団体の更新講習の形式に合うか確かめたい」「会場の講習からの移行手順や費用感を知りたい」といったご相談も承りますので、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
資格の更新講習は、動画の視聴と本人確認を組み合わせることで、オンラインで実施できます。消防設備点検資格者の再講習や運転免許の更新時講習など、公的な講習でもこの形が広がっています。
始める前に、修了の条件、本人確認の水準、受講期間、受講料の集め方、修了証の出し方の5つを決めておくと、運用が担当者ごとにぶれません。CPD単位も更新の条件になる資格では、受講記録を出力できる形で残しておきます。受講者の戸惑いには、わかりやすい案内と期間中の声かけで備え、会場の講習も必要に応じて残しながら移行を進めましょう。


