EE-LMSの代表的な活用方法の1つとして、カスタマートレーニング(顧客教育)があります。
今回はSaaSを取り扱う企業の担当者の方々、特にカスタマーサクセス (CS) 担当者の方にオススメの顧客教育の重要性について深堀りしていきたいと思います。
チャーンが発生する理由
SaaSビジネスは売って終わりではなく、成約してからの顧客との関係構築に重きを置き、解約防止が重要であることは、すでに多くの人によって語られています。
SaaSビジネスにとって何としても避けたい解約ですが、残念ながら発生してしまった解約の理由としては下記の4つが代表的です。
- 製品の使い方が十分に理解できなかったため使いこなせなかった
- 当初想定していた使い方ができなかった
- 社内で使いこなす人がいなくなった(退職・部署異動)
- 競合他社の方がやりたいことが実現できるため乗り換えた
チャーン防止に有効な施策
上記の4の解約理由には事前に対応できていれば防げるものもあります。
解約を防止するのに有効な方法としては下記が挙げられます。
[1] 潜在的な解約を検知するシステムの導入
- 顧客のネガティブアクションから解約兆候を読み取るためのシステムを導入する
[2] CS担当者へのトレーニングの実施
- 顧客状況を把握するための指標を設定・モニタリングし各ケースでの適切な対応を定義し、実行できるようトレーニングをする
- 新機能の活用方法など、CSから顧客への製品価値を伝えるためのコミュニケーションフローを改善する
[3] カスタマージャーニーのアップデート
- 顧客のニーズは変化するものとして捉え、顧客とプロダクトとのインタラクションを時系列にまとめ、最適なカスタマージャーニーがどのようなものかを定義する
- 顧客が行き詰まる可能性がある場所、追加の支援が必要になる可能性がある場所、または製品からさらに多くの価値を得ることができる可能性がある場所を特定する
[4] 乗り換え防止のための競合他社の分析
- 競合他社の製品がより顧客のニーズを満たす機能やをサービスを提供する可能性を注視し先手を打つ
[5] 顧客教育プログラムの開始または強化
- 成約直前、成約後のオンボーディング、オンボーディング完了後に、プロダクトを活用してもらうために必要な知識を顧客に身につけていただくための教育プログラムを開始強化する
顧客教育(カスタマートレーニング)とは
チャーン防止策の5つ目として顧客教育という言葉が出てきましたが、少し耳慣れない言葉ではないでしょうか。
顧客教育はカスタマートレーニングとも呼ばれ、冒頭に挙げた顧客がチャーンする理由のほぼすべてを解消しうる施策です。ここではチャーン防止策の中でも効果の高い顧客教育について詳しく見てみましょう。
顧客教育によって顧客が得るメリット
顧客教育によって、顧客は以下のようなメリットを得られます。
- 顧客が製品について早く理解することで、より早く製品の採用決定に至る(成約前の場合)
- 顧客がより優れた、より包括的なオンボーディングプロセスを体験することでサービスへの信頼感が増す
- 顧客が製品の使用方法と活用方法をより早く理解し、価値実現までの時間を短縮できる
- 顧客が新機能の使用方法と価値を引き出し、プロダクトや企業へのロイヤリティが高まる
- 顧客が顧客教育プラットフォームを使用して、いつでも好きなときに特定のトレーニングを受講し、自分で問題解決の方法を見つけられるようになる
- 顧客が製品導入効果を実感し始め、社内のエバンジェリストになった場合に、顧客教育プログラムがあると他部署にも広めやすくなる
あなたが提供しているSaaSが顧客の課題を解決しうる機能を有していたとしても、エンドユーザーがその機能を利用する方法を知らない場合、そのような知識のギャップが存在する状況は、顧客にとっても、あなたにとっても悲しい状況と言えるでしょう。
知識のギャップを埋めるための顧客教育を適切に実施することが、カスタマーサクセスに求められる活動の1つと言えます。
顧客教育の対象となる顧客
顧客教育の対象となる受講者は、導入直後の顧客だけではありません。
新機能に関するトレーニングを必要とする既存のユーザーや、より効果的な活用方法をマスターしてレベルを上げたいと考えているユーザー、また前任者が退職・異動してしまい改めて操作方法などを一から学ぶ必要がある新任者なども含まれます。
顧客との関係性におけるあらゆるフェーズで顧客教育は効果を発揮します。
顧客教育によってSaaS提供企業が得るメリット
顧客教育プログラムの導入によって売り手であるSaaS提供企業側にもさまざまなメリットが生じます。
- 顧客からの問い合わせ件数が減る
- オンボーディングなどに要する時間が短縮する
- 顧客による製品の利用量(時間・頻度)が増加し、従量課金型の場合売上が増加する
- 更新率とアップセルの成功率が向上する
- トレーニングサービス(教育コンテンツや認定資格の取得など)による追加の売上が発生する
顧客教育を適切に実施することは、顧客にとっても、提供企業にとってもメリットのある施策と言えるでしょう。
顧客教育を実施するために必要なテクノロジー
顧客教育のデリバリー方法としては、対面での研修や相談会などがありますが、広範なユーザーに届け、提供内容が蓄積、改善できるLMSを活用した提供方法が効果的です。
内部の従業員トレーニングと外部の顧客トレーニングとでは、目的や受講者のモチベーション、受講する際の利用シーンが異なるため、それぞれに適したテクノロジーが必要となります。
自社の顧客にあった顧客教育を提供するために、学習者の追跡とレポート、CRMやMA、ヘルプデスクソフトウェアなどとのデータの統合も必要になるでしょう。
また、さまざまなユーザーグループを対象とした複数のトレーニングモジュールを開発する必要があり、グループごとの受講権限の設定や、ログイン方法なども柔軟にカスタマイズできるシステムが求められます。
最後に
顧客教育プログラムとEE-LMSは、顧客の継続的な成功を実現するための有効な手段として、米国ではさかんに活用されています。
日本でも大手SaaS企業で導入が増加しています。
また、SaaSビジネスに限らず、あらゆる企業にとって顧客との継続的な繋がりは益々重要になってくると考えられます。
顧客との関係性の向上につながる顧客教育プログラムとEE-LMSの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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