2021年8月、Perfumeの出品したNFTアートが300万円で落札されたニュースをご存知でしょうか?「はいはい、また横文字ね…」とうんざりした方もいるでしょうが、スルーするなかれ!
NFTとはNonFungibleTokenの略。簡単にいうと『所有証明書や鑑定書が付いたデジタルデータ』です。
NFTの登場で、これまで「現物がないから価値が低い」とされてきたデジタルデータの常識がひっくり返るかも!?今回は、NFTについて初心者の方にもわかりやすく解説します。
NFTとは?
NFT(NonFungibleToken)は、日本語で非代替トークンと略されます。
- 非代替:交換できない唯一無二のもの
- トークン:証拠品などの意味を持つ英単語。ここではブロックチェーン上で発行・取引される”独自の価値を持つデジタルデータ”を指す
ブロックチェーン技術を使い、作成年月日や識別番号、所有者の履歴といった情報を、他人がコピーできない形で付与・明示している画像・動画・音楽などのデジタルデータ。それがNFTです。
ここで「そもそもブロックチェーンとは何?」という方もいるでしょう。NFTを知る上では「ブロックチェーン上で発行・取扱いがされるので、デジタルデータの鑑定書や所有証明書の改ざん・コピーはほぼ不可能」という部分だけ押さえれば大丈夫です。
もしブロックチェーンについても知りたい方は、中田敦彦さんが動画で熱く解説しているので参考にしてみてください。
NFTの特徴
NFTはデジタルアートやキャラクターIP、ゲームの分野で特に注目されています。これには、NFTの持つ3つの特徴が関係しています。
- 所有者の証明ができる
- 誰でも作れて、誰でも取引できる
- プログラマビリティがある(プログラムで制御できること)
デジタルデータは、容易にコピーや加工が可能です。一度流通してしまえば、どれが本当のオリジナルなのか見分けることも困難。しかし、NFT化すれば作品の所有証明書がつけられます。「これが正真正銘のオリジナルですよ」と主張でき、デジタルデータに1点物の価値を与えられるわけですね。
また、NFTには共通規格があり、その規格に沿って発行されたものは同じ規格を使っているサービスならどこででも取り扱えます。さらに所有権の移転は、国やベンダーの枠組みにとらわれず自由に取引可能。「Kindleで購入した電子書籍がiBooksで読めて、さらに海外の人に売却もできる」ようなイメージです。
そして画期的なのがプログラマビリティ。データにプログラムを付与できるので、例えば「作品が転売されたら、その売上の◯%が作者のマージンになる」などの仕組みもつけられます。
実際にどのようなNFTアートがあるのかは、こちらのNFTアートギャラリーのニュース動画がわかりやすいでしょう。多種多様なデジタルアートが紹介されています。
ちなみに、勘違いしやすいのですが、NFTのデータ自体はコピーできます。コピーできないのはデータに付随した識別情報部分です。有名絵画の贋作は作れても、鑑定書の偽装までは難しいのと似ていますね。
NFTと暗号資産(仮想通貨)の違い
ブロックチェーンというと、ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)を思い浮かべる方も多いでしょう。
暗号資産とNFTは、どちらもブロックチェーンを利用したトークンです。しかし、暗号資産に代替性がある(Fungible)のに対して、NFTには代替性がありません(NonFungible)。
代替性とは、下図のようなイメージです。
例えば1万円札には番号が記載されており、厳密には唯一無二の1枚です。しかし、1万円は1万円。プレミアム紙幣でもなければ番号によって価値は変動しませんし、5,000円札2枚に分割しても価値は1万円のままです。
一方で、有名人の写真、しかも裏側に本人のサイン付きだったらどうでしょう? 「コピーしたものと交換してくれない?」「いいよ」とはなりませんよね。このような代替性の有無が、NFTと暗号資産の根本的な違いなのです。
NFTの歴史
最近登場したように見えるNFTですが、最初にNFTが盛り上がりを見せたのは2017年です。イーサリアムブロックチェーン上で登場した「CryptoKitties」というゲームが切欠でした。
ゲームの説明はこちらの公式の動画をご覧ください。ざっくり説明すると、猫同士を交配して新しい猫を生み出したり、生まれた猫をオークションに出して暗号資産ETH(イーサリアム)で売買したりするゲームです。
正直、ちょっと絵のうまい人なら描けそうな…といった猫のイラストですが、盛り上がりを見せていた当時は、この猫たちが1匹数百万〜1,000万円といった金額で売買されていました。衝撃ですよね!
しかし、2018年の暗号資産の暴落を受け、このNFT第1バブルは終焉を迎えました。次にNFTが盛り上がりを見せたのは2020年に入ってから。2020年、「NBA Top Shot」というNBA選手のプレイ動画をデジタルカードにしたコレクションゲームが登場しました。
カードはNFTで発行されており、唯一性が付与されています。このゲームが大当たり! コレクターからNBAファンまで参戦し、1年で7億ドルを売り上げたと言われます。
その後の熱狂は、ご存知の方も多いのではないでしょうか?
- 2021年、TwitterのCEOジャック・ドーシー氏が自身の初ツイートのNFTを約3億円で売却。
- デジタルアーティストBeepleのNFアートが、オークションにて約75億円で落札
Perfumeの300万円がお手頃に見える高額取引の数々。暗号資産の高騰や著名人の参入も相まって、NFTは再びバブル的な状況となっています。
NFTはどこで購入・販売できるの?
まさにデジタル界のゴールドラッシュやー!と叫びたくなるNFT。しかし、いったいどこで売買されているのでしょうか?
個人がNFTの発行や売買を行う場合、マーケットプレイスと言われるプラットフォームを利用します。マーケットプレイスは国内外に多数あり、中でも以下が有名です。
- OpenSea:2018年設立の代表的なマーケットプレイス。アート作品や音楽、ゲーム内アイテムなどさまざまなNFTが売買されている
- Rarible:2020年創業。独自トークンPARIを配布している
- Nifty Gateway:NFTの発行にはクリエイター申請が必要だがオークション参加は誰でもできる。Beepleの作品が出品されたのもここ
- Valuables:Twitterアカウントを連携させると、自身の過去のツイートをオークションにかけられる。購入したツイートは再販も可能。ドーシー氏のツイートが売られたのはこのサイト
上記のマーケットプレイスでは、NFTの売買にETH(イーサリアム)などの暗号資産が必要です。売買にはガス代と呼ばれる手数料がかかり、仮にNFTが売れても入金はETHになる点には注意してください。
とはいえNifty Gateway以外は誰でも自分の作品を販売でき、NFTの発行や転売も簡単です。ちょっと覗いてみるとわかりますが「え、この落書きのような作品が…この値段で…?」というようなものも結構あります。いや、かなりあります!
NFTの良いところは、誰でも発行できて、世界中の人と売買できる点。ある意味、プロ以外のアーティストも挑戦しやすい環境が整ったとも言えるでしょう。
ちなみに「NFTは買ってみたいけれど、暗号資産なんて持ってない」という方は、NBA Top Shotのようにドルや日本円が使えるマーケットプレイスも登場しているので探してみてくださいね。
オンライン研修にもNFT!?
デジタルデータに唯一無二の価値を付けるという意味で革新的ともいえるNFT。活用シーンはデジタルアートやゲーム分野に限りません。
2021年8月には、印鑑の会社シヤチハタがNFT印鑑の開発を発表しました。所有証明書や鑑定書が付いたデジタルデータ』という性質をうまく活かせば、例えばオンライン研修の修了証やテスト結果をNFTで発行し、信頼性を付与することも可能です!
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